Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 29. Academic Revolution
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ところだった。
「ったく、せっかくの弟子の晴れ舞台だってのに、リーナの奴、急用だとかでアルゴとどっか行っちまいやがって……」
「まあ、用事があるなら仕方ないよ。パーティーには顔を出すんだろう? そこで今日の試合の映像を流す予定だから、その時に見てくれればいいさ」
俺の隣に座ったディアベルは、そう言ってティーカップを傾けた。
白い騎士服の上から重ねた濃紺のローブと同色の四角い帽子は、まさに教師って感じの雰囲気を醸し出していた。胸に付けた金のバッジは、最近卒業生からプレゼントされたものらしい。特に派手でも地味でもないデザインなんだが、コイツが身に付けるとまるで長の証とでも言うかのような妙な説得力のようなものがある。
そんなアカデミー長サマの出で立ちから目を正面に戻すと、ちょうど二人がステージ上に上がりきったところだった。
一方は「月夜の黒猫団」リーダー、ケイタだ。
全身のカラーリングは昔同様の緋色だが、昔来ていた騎士服ではなくて裾がゆったりした中華風の衣装を纏い、その上から軽量級金属防具を装備している。手には朱と金色で彩られたシンプルな両手棍『金箍棒』が握られていて、傍から見れば立派な中国武術の使い手ってトコだ。
もう一方は見たことのない奴だ。プレイヤー名はヴォルケ。
逆立った金髪に青い目。大腿部にゆとりを持たせたズボンにブーツを履き、上はタンクトップに最低限の革防具。篭手をはめた手には武骨な大剣が握られていて、昼間の太陽を反射して鈍色に輝いている。こっちは熟練の傭兵って感じか。
デュエルの申請、受諾が行われ、二人の頭上に『Keita vs Wolke』と書かれたウィンドウが出現。それを見て沸き立つ観衆の中心で、ケイタは棍を中段に、ヴォルケは大剣を下段へと構える。そのまま相手を見据えたままピタリと動きをとめ、開戦のブザーを待つ。
数十秒後、開始のブザーが鳴り響くと同時に両者が突進。ケイタの突進攻撃『ヘビーバリスタ』と、同じくヴォルケの『アバランシュ』が激突した。激しい衝撃音と共に互いの武器が弾かれ、体勢が崩れる。
その反動を利用するようにして、ヴォルケは大きく身体を旋回。相手の胴目掛けて回転斬りを放った。ケイタは滑るように二歩後退。鋼鉄の塊のような剣の強振を紙一重で躱し、
「破ッ!」
気合一叫。鋭い踏み込みと共に相手の小手を打ち据える。
スキル攻撃でなく急所でもない部位への攻撃のため、ダメージ量は大したことは無い。しかし、ケイタは気にも留めない様子で間合いを詰め、立て続けに連続打撃を打ちこんでいく。
大剣の長い間合いの内側に入られたヴォルケは、強引に押し切るようにして大剣を振った。轟という空を裂く音と共に刃
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