Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 29. Academic Revolution
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入賞賞品、あるいは賞金として生徒に進呈することを企画した。
攻略組であったプレイヤーが上層で得たシステムリソースを次代の攻略組へと引き継ぎ、彼らが成長の過程で不要になった装備を任意の「寄付」という形で回収、さらに下位層への支援を充実させ、ボリュームゾーン全体の底上げを図る。支払われた授業料の一部は支援金として卒業生に貸与するシステムも作成し、各レベル帯間で資源を巡らせる。
この組織力を活かした「システムリソースの循環サイクルの構築」こそがアインクラッド開放促進に貢献でき、かつSSTAというギルドの存在意義に相応しいと、発案者であるディアベル氏は主張。ギルド内の全幹部から賛同を得て、同氏が主体となって計画は推進されることとなった。
「アカデミー・トーナメント」では参加プレイヤーは各レベル帯ごとに階級分けされ、それぞれが一対一のデュエル形式である「シングルマッチ」と、旧校舎内部をフィールドとして設定し、十人で時間内のキル数を競う「フリー・フォー・オール」のいずれかを選んで参加することができる。
特に談合と一部の特殊アイテム使用以外のあらゆる行為が許可されている後者のルールでは、屋内の障害物を活かした立ち回りや、アイテムを効果的に使用するテクニック、奇襲に対する確実な迎撃が重要となる。
これにより、これまでデュエルでは活用されることの少なかった「索敵」や「隠蔽」といった補助スキルの流行と、盾による堅実な防御の重要性を広めることに成功している。SSTAの事務部によると、両ルールを合わせた参加者は初回で四百人を超えており、かつ回を重ねるごとに人数は増加していく傾向にあるという。
また、このトーナメントの上位入賞者からは攻略組入りするプレイヤーも多数出ている。この点に関しては、第一回での血盟騎士団長ヒースクリフの視察、続く第二回の聖竜連合の幹部陣観戦などに見られるよう、大手ギルドからも注目が集まっている。確認が取れた範囲では、血盟騎士団に二名、聖竜連合には三名のSSTA卒業生が在籍しており、SAO攻略においてSSTAの存在は無視できないものとなっている。
このようにSSTAの成長に多大な貢献を果たしたディアベル氏は、七月十八日付けでアカデミー長へと昇進。現在は第一層転移門広場での定期的な炊き出しの実施や、非戦闘系職向けの入門講座の開講などに力を入れており――」
◆
「――護君、一護君。そろそろ決勝戦が始まるぞ?」
情報ペーパーを読んでいた俺は、ディアベルの良く通る呼び声に反応して顔を上げた。
一般席よりニメートル高くなっているここ「来賓席」からは、仮説スタジアムと化した訓練所の全体が見渡せる。その中心部、半径二十メートル程度の円形のステージの両端から、二人のプレイヤーが歩み出てくる
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