第108話 最後の戦いが始まるようです
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れと同じ大きさの、燃え盛る四枚の翼を広げる、鳥に似た"炎凰"。雲を階段にして降りて来る
四足歩行の純白の獣の"嵐虎"は一回り小さい。そして何よりも―――
ズズゥゥン!!
「おいおいおい、"巌武"まで連れて来たのか!?帝国守護を完全に捨てるとは思い切るな。」
轟音を立て雲海に着地した巨大な亀型の神獣"巌武"。軍の最前に立った姿は他の神獣と比べ三倍を
超え、正に『山』と表現するに相応しい大きさと威容を誇っている。
ラカンさんが帝国の護りを完全に捨てる、と言ったのは正しい。何故ならこの神獣の持つ能力は、
主と仲間や臣下に障壁を張り、更にダメージを肩代わりする『守護』だ。だからこそ帝国はこの
神獣に国の護りを任せていたんだ。
「ここで負ければ全てが終わる。優先順位などを考えている状況ではない。」
「フフフ。貴方の様な人が長なら、MMも変わっていたのでしょうかね。」
「それはないじゃろうな。そら、こんな事をする奴の息がかかってはな。」
ゼクトさんが呆れたように宮殿を指すと、ポツポツと黒い点のような物が浮かんでは昇って行く。
その数は徐々に増え、昼の空を覆い尽くす闇となるまでにそう時間は掛からなかった。
蠢くモノの正体は魔族。非生物的な装甲に身を包んだ低位の悪魔が多いけれど、その中央に並ぶ
数百体の上位の悪魔に、こちらの軍の皆が慄く。
「いよいよですね。」
「ああ。にしても、まんま昔と雰囲気が同じだな。……いやになる。」
「戦力がダンチだからなぁ……。ま、しゃぁねぇ!気合入れろ、来るぞ!!」
ラカンさんが気を発して発破をかけるとほぼ同時。宮殿の方から、それを上回る"神気"が
叩きつけられ、悪魔達が道を開け、一斉に首を垂れる。現れたのは悪魔と正反対の装束を纏い、
純白の翼を広げた、かつて英雄と呼ばれていた三人だった。
【――諸君、本日は集まってくれてありがとう。そして愚かだと言わせてもらおう。】
「……いきなりご挨拶だな、オイ。」
鮮烈な登場をし、感謝と侮蔑を投げかけてくる愁磨さん。
【お前達が戦う準備をする間に、我々は救いを求める者達を救っていた。結果、一万を超える
同胞を救い出す事が出来た。しかし、悲観する事はない。そうするお前達さえもまた、我々が
救うべき同胞である。】
でも憤慨する暇も無く、次に告げられた言葉から誰も声を発せなくなった。
恐怖や後悔だけじゃない。その声に、安心してしまっているのだ。だけど、それを分かっている
僕達は次に来るものを予想し、動いた。
【――しかし、救うに値しない魂もまた、多くあるのも事実。故に!】
ズォッ―――!!
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