一章
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盗賊の砦は大きな洞穴につくられ、入り口だけでなく高台にも見張りはいた。この見張りを始末しなければ近寄ることも容易ではない。
しかし相手はゼロだ。しかも空がだんだんと明るくなり、最悪な気分になりつつあるゼロだ。そんな手のかかることはしない。
「おい!誰だ!」
「うるせぇ、何も言うな。黙ってゼロがきたって報告してこい。戦争したくなけりゃ黙って通せ」
そういってドンと蹴り飛ばすと、ずかずかと中へと進む。見張りも他の盗賊たちもあまりの強引さに身を引くしかなく、言われるがまま盗賊のボスの前へと転がり出た。女を両手にぐーぐーと眠りこけていたボスは、急に開いた扉の音で不機嫌そうに目を開いた
「なぁんだ?やかましぃのお!」
「お、大ボス!あ、あああ怪しげな輩が……」
眉をひそめた大ボス。そこへ、煙草に火をともしながら扉をくぐる
「なんじゃあ……おめぇ」
「ゼロ。あんたがこの砦のボスか?一晩邪魔させてもらうぜ」
「ゼロ……。まさか、あの闇の帝王じゃねぇだろうなぁ?」
「まぁそう呼ばれることもあるな」
「信じるとでもおもうか?若造。度胸はかってやるが、嘘はよくねぇ……」
「同感だな。俺も嘘つくつもりはねぇ。信じる信じないは勝手だが、事を起こすつもりなら俺も加減しねぇぞ」
ゼロと盗賊の視線がぶつかる。鋭いゼロの目と老いによる威厳の目
その決着は盗賊の笑い声で終結した
「ガッハハハハ!おもしろい!おもしろい男じゃ!おい、部屋を用意してやれ!あと宴の準備じゃ!客人は歓迎せねばならん。ほら、女どももいつまでも寝ずに支度をせい!」
ゼロはニヤリと笑ってタバコをくわえ、ボスの前に腰を下ろした
「いやいや、失礼した。こんな姿で申し訳ない」
「気にすんな。こっちも勝手に押しかけた身だ。あんた、名前は?」
「わしはフォスタ。ゼロ殿、会えて光栄に思うぞ。そして礼を言おう。お前さんの力なら砦もろともチリにすることもできたじゃろうに、こうして会いに来てくたことに感謝するぞ」
「俺は快楽殺人鬼じゃねえよ」
「いやはや、まったくだ。すまぬすまぬ。わしは手配書に興味はなくて……有名な魔王と聞いても顔までは知らん」
「クク、それでなぜ俺が本物だと?」
「どうでもよい。本物かどうかなぞ小さいことよ。わしはお前さんが気に入った。わしを見ても恐れひとつもなければ、己の方が強いという傲りさえもない。実に読めぬ目をしておる」
「そりゃどーも。あんたの目はビビらせようとするだけで、殺そうとも傷つけようともする気が見えなかったよ」
フォスタは高らかに笑い、側の酒をゼロに振る舞った。ゼロもくいっと飲み干す。
しばらくたつと、たちまち砦
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