一章
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もうない。怯える動物のように、体を震わせ小さくなるだけだった。その息子の姿に、フォスタはがっくりと項垂れ、同じように小さくなるのだった
「おまえ、別に隠さなくていいだろ、これ。世間でいうとこの大犯罪者だぜ?俺は」
「いや……だから……とられちまうんじゃねぇかって思って……」
「バカが。こんなみみっちい稼ぎ方するかよ。金がほしいときは金を奪えばいい」
盗賊相手に盗賊の鏡のようなことをゼロは言った
「それにしても、ガキを獲って取引とはな。盗賊らしくねぇもんだ」
「なかなかうまくいかねぇんすよ。盗賊稼業も」
「なにがうまくいかねぇだ。悪党の良さをわかってねぇな、おまえ。まだまだってことか」
見た目では明らかにゼロの方が年下であり、小さくなっているとしてもこの男も一味のトップである。男は眉間にシワをよせ、イラついた声を上げてゼロを見下ろした。後ろで、フォスタがうんうんと大きくうなずく
「あんたと違って、おれぁ仲間の身を預かってんだ。なにがまだまだだ?おれぁお前が産まれたときから悪党やってんだよ!」
「それにしてはビビりまくった生き方してやがんな」
「うるせぇ!!警戒してなにが悪いんだ、こらぁ!!仲間を食わして守ってやっていくには良いも悪いもねぇわ!」
「そんなに他人を守りてぇなら盗賊稼業なんざやめとけ。真面目に足洗って働けよ。だからわかってねぇっつってんだよ」
「なんだよ!悪党の良さってやつか?あ???じゃ言ってみろよ!良さってのをよぉ!?」
ゼロはお決まりのニヤリとした笑みを浮かべ、盗賊の頭のみぞおちへ華麗な蹴りを食らわせた
「自由」
盗賊の頭は崩れ落ち、小刻みに体を揺らし、息ができないのか喉をにぎり悶えていた。父であるフォスタも助けようとはしない。それよりゼロの言葉に大きく賛同しているようだった
「国も世界も、縛ることはできない。リスクを承知にやりたいようにやる。それがメリットだろ。ただ生きるためなら真面目に働け。その方が楽だし危険も害もない。盗賊なら盗賊らしく、人に迷惑かけながら盗みに取り組めよ。今更びびってんじゃねぇ」
ゼロの言葉に、フォスタも頭もなにも言えない。そこに甲高い声が響き渡った
「はなせ!はなせぇ、ばかぁ!!ぼくににさわるなー!!!!」
子供の特有の甲高さにゼロの眉間におもいっきりしわがよる。暴れる子供に手を焼く手下と、柔らかい金髪をした小さな子供。この場所ではとくに珍しくもない光景であろう。しかし、そんなこと関係のない子供は泣きそうな顔で暴れる
「えええぃ、放さないなら……!」
子供のまわりに少し光が帯びた。その光が手に集まったかと思うと空気を読まずに子供は叫
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