一章
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れた薄暗い通路を歩きながら、ゼロはクククと笑う。歩けば歩くほどに子供の泣き声は近くなり、だんだんと大人の罵声も響くようになった。
「わしも……ガキの取引は、あんまりやりたくはねぇんだが、もうここはあいつに任せてあっから……なんとも言えなくてよ」
「へぇ?ガキに弱いのか、あんたでも」
「これでも嫁も子供ももったんだ……あんまり気はすすまねぇよ」
「その気のすすまねぇことを自分の子供がしてるってのは……なかなか面白いな」
「言ってくれる。あぁ、あいつだ、あいつ。わしの息子」
そこには子供を無理矢理牢へねじ込み、怒声を張り上げる男がいた。誰が見ても親子と分かるくらいにフォスタそっくりの男だ
ゼロはすっと身を隠し、その様子を見守った
「うるせぇぞ!ガキどこ!ピーピー泣くなや!!泣いてもわめいてもここからは出さねぇんだからよ!おい!早く次をつれてこい!!」
連れてこられた子供はひとりひとり足枷と手枷をはめられ、番号の書かれた札を首から下げていた。身なりもさまざまで、何も着ていない子供から豪勢なきれいな服をまとっている子供もいる
ゼロは小さくため息をついた
「盗む対象が悪い。貴族から回収してんじゃねぇか」
「そりゃあ……そっちのが売れるからなぁ」
「あほ。ガキ人質にしてふんだくったほうがまだいい。それに、あんな目立つガキ取引に出したら、軍に見つかって終わるぞ」
「お、おお?そ、そうなのか?」
「仲介を何人はさんでもいずれは足はつく。今までは軍も忙しかったからうまくいってたかもしれねぇけど……これからはそうもいかねぇぞ」
「あ、あぁ。忙しいって、ルナティクスの連中の始末か。結局ひとりも捕まらんかったらしいがのお」
これだけ小言を言っていれば、誰でも気づく。銃口は向けられ、即座に発砲された
「だれだ!!そこにいるのは!」
銃弾は壁にあたり誰に当たることもなかったが、すぐば弾丸のようにフォスタは飛び出した。
「ぶぁっっかもん!わしじゃ!!」
大きな拳が振り回され、その息子の頬へめり込む。しかし、吹き飛びもせず盗賊の頭は殴られて赤くなった頬をさすりながら何ともないように続ける。
「親父!?なんでここにいるんだよ!ここ嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだがしょーがねぇことがあったもんでよぉ……」
鎮まったはずの怒りがふつふつと沸き上がってくる前だった
「よお」
「!!!!」
背後からの声に勢いよく振り向く。そこには煙草の煙を揺らす悪魔がいた
「っっっっぜ、ゼ、ロ……」
「旨い酒だった。一杯のむか?」
「い、いや……」
子供に怒声を張り上げていた影は
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