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第一章
夕立
下校中にだ。いきなりだった。
「うわっ!?」
「いきなり!?」
それが二人を襲った。
「傘は?」
「ないわよ」
一人がもう一人に言う。
「だってさっきまで晴れていたじゃない」
「そういえばそうね」
「折り畳み傘があればいいけれど」
「持ってる?」
「持ってないわよ」
これが一人の返答だ。茶色の長い髪をポニーテールにしていて大きなはっきりとした鳶色の目を持つ女の子だ。眉が太く黒がかっている。身体は小柄で赤いネクタイのセーラー服がよく似合っている。
「悪いけれど」
「悪いなんてものじゃないわね」
もう一人がここで言った。こちらは髪を桃色に染めてそれを頭の量上でそれぞれ角の様にしている。やはり小柄で明るく幼さの残る顔をしている。相手と同じセーラー服である。
「僕もだけれど」
「じゃあお互い様じゃない」
「あはは、そうだね」
桃色の髪の女の子松山真理耶が相手の神部林檎に対して返した。
「そういえばね」
「そうそう、一緒だよ」
「じゃあこのことはそれでいいとして」
「ええ」
「どうしようかしら」
真理耶はあらためてこう言うのであった。
「雨だけれど」
「どっかに雨宿りしようよ」
これが林檎の提案であった。
「何処かのお店で」
「お店でなの」
「うん、どっかに入ろうよ」
「ええと、それじゃあ」
真理耶はここで周囲を見回した。するとであった。
丁度いい具合にファミリーレストランがあった。その店を見てだった。
「あそこ入る?」
「うん、入ろう」
林檎はすぐに真理耶の提案に頷いた。
「それじゃあね」
「とにかくこのまま雨の中にいてもね」
「何もならないよ」
「そうよね。だからね」
また話す真理耶だった。
「まずは中にね」
「身体や服も拭かないといけないし」
「そうよね、それじゃあね」
こうしてであった。二人はすぐにそのファミリーレストランにいった。その中は全体的に黄色系統の色で統一されドリンクバーやデザートのコーナーが店の中央にあった。真理耶はそこを見て言うのだった。
「林檎、あれ見て」
「あっ、ドリンクにデザートに」
「あれ頼む?」
こう林檎に言うのだった。
「お金見てから」
「お金ってどれだけあるの?」
「ええとね」
真理耶は自分の財布を出して中を見た。するとであった。
「千円」
「千円なのね」
「昨日CDに使っちゃったから」
「そうだったの」
「それで千円しかないんだ」
それでだというのだ。
「林檎はどれだけ持ってるの?それで」
「ええとね」
今度は林檎が財布を開いた。その結果あったのは。
「千円」
「同じね」
「そういえば今月色
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