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第六章

「僕のこと好きだったんだね」
「あっ、しまったわ」
「あんた何やってるのよ」
 女友達は完全に呆れていた。
「自分から言って。しかもこんな形で」
「だって。いきなりこけたから」
「こけてもよ」
 女友達の突っ込みは厳しかった。
「言ったら駄目じゃない、幾ら気が動転していてもよ」
「しまった・・・・・・」
「しまったじゃないわよ、今までの努力がパァじゃない」
「確かに」
「こうなったらもう開き直るしかないわよ」
 彼女は作戦変更を強要した。そして朋子もそれしかないのがわかっていた。
 右手を拳にして胸の前に置いて気持ちを落ち着けてから。それから言うのであった。
「あのね」
「うん」
「もう言っちゃったけれど」
 俯いての言葉だった。
「私、由良君のことが好きなの」
「そうなんだね」
「そうよ。だからね」
 このことを告げてからさらに言うのだった。
「由良君がよかったら」
「いいよ」
 彼の返答はこれだった。
「僕でよかったら」
「そう。いいの」
「御免、今まで気付かなかったよ」
 彼も照れ臭そうに言う。
「まさか椎葉さんがそんな」
「ずっと好きだったのよ」
 俯いたまま顔は真っ赤になっている。とても見上げることはできなかった。
「ずっとね。本当に」
「そんなに好きになってくれるなんて」
「嘘じゃないわよ、好きよ」
 また言う朋子だった。
「本当にね」
「じゃあこれからはね」
「ええ。もう素直に」
 言葉を続けていく。
「するから」
「けれど僕でいいんだよね」
「だからいいのよ」
 あらためて言うことになった。
「由良君でないとね」
「何か嘘みたいだよ」
 潤は今度はこうしたことを言ってきた。
「今こうして。告白受けているなんて」
「最初からそのつもりだったわ」
 このことも話した朋子だった。
「タイミングはもっと先にするつもりだったけれど」
「そうだったんだ。じゃあずっと僕のことが」
「そうよ」
 朋子はこくりと頷いた。
「ずっとね。好きだったのよ」
「有り難う」
 潤はこのことに礼を言ってきた。
「有り難う」
「有り難うって。どうしてここで」
 今の彼の言葉に少し戸惑いを覚えた朋子だった。
「何で言うの?」
「好きになってくれて有り難う」
 こう言うのだった。
「僕を好きになってくれてね」
「だから有り難うなの」
「うん、だからだよ」
 また言ってきたのだった。

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