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大刃少女と禍風の槍
十節・立ち向かう戦士達
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オオッ!?』」


 再び繰り出された後方宙返りから、三体目のコボルドの頭部にカエルの様な体勢で着地。
 其処がジャンプ台か何かだとでも言わんばかりに、また跳躍する。

 当然それは攻撃と退避を兼ね合わせたモノで、グザはコボルド等から三メートル離れた位置に着地していた。


 ―――――これら以上の攻防は、実に一分すらも『掛らぬ』間に行われていた。
 片方が余りに卓越しているからこそ出来る、ハイスピードバトルだ。


「うお……すっげぇ……!」
「な……何だよ、アレ……!?」



 ゲーム的観点から見ればHPは減ってこそいるものの、効率はいまいち微妙だと言わざるを得ない。
 だが、このまま続けてもいずれ “コボルドの方” がジリビンとなり、ポリゴンの欠片と変わってしまう事が明白だという事も……また否定できそうにない事実であった。


「おいおい子犬ちゃん、オレちゃんは一人だわな? だったら首ぐらい取って見ろや! ヒヒハハハ!!」


 何よりそれを実行している本人が、今一番危ない位置に居る本人が、其処の読めない笑みと独特の笑いを交えて、苦戦の色をスズメの涙ほども感じさせない。

 ボスの取り巻きであり、数人で如何にか安全なランクまで持っていける、そんな強敵である筈のコボルドの方が最早プレイヤー側か、いっそ子供にすら見えてしまう。



 ―――コレがある意味で、『トドメ』となった。



「加勢しよう……守りを重視すれば生き残ることだって出来る……」
「そうだ、そうだよ……折角あそこまで減らしてるんだ、とんでもない奴等が居るんだ……!」
「やるぞ……やってやるぞ!!」


 負の連鎖に亀裂が入り、皆の眼に希望が戻った瞬間だった。


「皆さん、注目ーーーーっ!!」


 その希望を逃すまいと、確固とした形にしようとアスナが声を張り上げる。

 其処れ全員に女だという事がバレてしまうも、如何やら本人は注目を集めるべく敢えてそれを狙ったのか、表情に戸惑いなど見られない。


「これより、騎士ディアベルの最後の指示を伝えます! 彼の最後の指示は―――『ボスを倒せ』! そしてこれより一時的なリーダーとなるプレイヤーは……彼だと!」


 言いつつ、レイピアで指示した先に居たのはグザ……ではなくエギル……でもなく、“キリト” だった。


(……お、俺か!?)


 目玉が飛び出そうになるぐらい驚いている様だが、されど状況が状況だけにキリトはそれを表に出さなかった。

 が、グザは余りにも人離れした活躍のお陰で逆に活気となった様だが―――ソードスキルを見破っていたキリトはその行為で『ベータテスターではないか?』という疑念が広がっていたらしく、皆
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