十節・立ち向かう戦士達
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言いながらもこの狂乱の中でも冷静に動いていたのか、エギル達B隊はそう返事する前から既にC隊へ近寄っていた。
その行動を見逃す《コボルドロード》ではない。
「『グ、ググ……グ、ウウゥゥゥゥゥゥウアァァァァ……!!』」
……加えてダメージを与えられた所為なのか、AIが操る筈の電子の塊である狗頭の獣人に確かな『怒り』が宿ったかに見える。
血の如き真っ赤な相貌で、キリト達をねめつけ―――獰猛に吠える。
「『ル゛ア゛ア゛アァァァァァアアア!!!』」
「手順はセンチネルと同じだ……行くぞ!」
「ええ!」
大雑把ながら恐るべき速度を誇る《コボルドロード》の通常攻撃を避けては弾き、《コボルドロード》がソードスキルの構えを見せるや否やアスナはすぐさま下がる。
そして、すで此方もソードスキルを準備して居るキリトが、左肩越しに担ぐ構えからかっ飛んでくる刀をピッタリのタイミングで、空気を振わせつつ高々弾きあげる。
生まれたその間隙を逃すものかと、アスナの神速を誇る【リニアー】が再び狗頭君主の腹を、純白なる光で鋭く穿った。
ヘイト値が溜まりアスナを標的にされれば、彼女は己の敏捷値を活かしてどちらの攻撃も掠らない位置を逃げわまり、キリトが背後から通常攻撃を決め着実にターゲットを自分へ変えていく。
更に繰り出された刀スキル居合切り【辻風】をまたも打ち上げて、アスナが下がっていた喉元へ【リニアー】を打ち込みHPを確実に削る。
そして何度も何度も、同様にくり広げられる決死の逆転劇に、プレイヤー達の眼には光が戻り始めていた。
「す、すごいぞあの二人! フードの方はソードスキル見え無いぐらい早い……!」
「もう一人はソードスキルを全部キャンセルさせてる……!? こ、これなら」
「阿呆!!」
僅かな希望を持って呟いたプレイヤーの言葉を、しかしキバオウが嘴を入れて遮った。
「幾らスキル知っとたって【リニアー】一本で倒せりゃ苦労せんわ! こんな状況や、限界を迎えるんはあいつ等が先やで!!」
奇しくもその場面は、彼の一言と重なり…………訪れた。
思い切り上に振り上げられた刀を睨み、キリトもまた上から同じ軌道で剣をぶつけようとして―――
「しまっ……!?」
突如肩が沈みこみ、キリトの剣の軌道を “外した” 上での斬り上げに変化してしまった。
真っ青な光を纏う、この刀スキル【幻月】の真骨頂は繰り出した後にでも僅かな間、上下に軌道が変更できる厄介さにある。
当然モンスターMObならばある程度見切れるのだが……ギリギリの攻防続けて、摩耗していたキリトの集中力が、細かな挙動に対する見切りを鈍
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