十節・立ち向かう戦士達
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君主に。
グザが複数の護衛兵に。
真っ向からぶつかり、足掻いていた。
「今まで通りに対処してくれ!! A隊タンクはボスの攻撃を頼むっ!」
例え聞こえて居なくとも、僅かな可能性に賭けて叫ぶキリトへ。
「『グオオオオオッ!!』」
「『ギイイィイィィイ!!』」
「甘めぇのよ、喰らって堪るかいや!」
一対二という不利の中で、なお変わらず槍で捌き続けるグザへ。
「……っ!」
逃げる事が最優の手段である筈なのに、アスナは動かず目を反らせないでいた。
あと一歩、前後どちらか踏み出すだけで自然と走りだしてしまうと、アスナは感じている。
だから逃げれば良いのに、逃げる事こそこの場では一番かしこい判断なのに……動けずにいた。
されど恐怖からではなく、自分が語った『走れる所まで走り燃え尽きて死ぬ』という理念でもない。
それはまるで目の前に、後方に居る……プレイヤー二人のの放つ光に、縫い留められているかのように。
「細剣使いさん! 俺が注意を引き付けている間に、アンタは退てくれ!」
「『オオオオォォォォォオオオォォ!!!!』
「長くは持たない! 急げっ!!」
振りかぶり放たれた刀の剣線が、目の前で重なりXを描く―――その直前にキリトのペールブルーの刀剣が、勢いよく割り込んで大音量と共に跳ね上げた。
パリングにより《コボルドロード》に大きな隙が出来るものの、それはキリトの方とて同じ。
結果、反撃も出来ずに両者、睨みあいへシフトする…………
「ィヤアアッ!!」
「!」
またもその直前に純白のライトエフェクトが空間を切り裂いて、隙だらけな《コボルドロード》の胴体を鋭利な刃で抉った。
驚嘆の面持ちでキリトの見る先で……【リニアー】を使い飛びこんできたアスナがレイピアの先端を怖れから震わせながらも、確り《コボルドロード》を見据え、言う。
「私も行くわ。パートナーでしょ」
目線だけ向けたキリトは数秒の葛藤の後、小さく頷いた。
危険な場面なのに、キリトが肯定の判断を下したのは何故か?
ベータ時代に十層迷宮区まで駆け上り、其処に湧出した侍型モンスターが使っていたおかげで、実の所【刀】スキルの内容をキリトは幾つも知っている。
なら、一人でも手誰を傍に置いておく方が、確かにメリットにもなるだろう。
しかしギリギリの綱渡りに変わりはない。
……出来る範囲で万全を期すべきだろうと、《コボルドロード》を睨みつけたまま、背後へ向けて叫ぶ。
「…………頼む……B隊! C隊を安全圏へ運んでくれ!」
「お、おう! 分かった!!」
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