十節・立ち向かう戦士達
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「洒落にならんて……!」
「嘘やろ……? うそ、やろ……?」
グザの、キバオウの視界の中で。
「ディ、ディ、ディアベルさんが、ディアベルさんが……っ」
「し……死ん……」
数多のプレイヤー達の目線の先で―――――一人の人間が、“ディアベル”が殺された。
本来ならば頭の中が真っ白になり、若しくは胃中の内容物をぶちまけ、或いは金切り声を上げてしまう―――その筈なのに。
ディアベルの死に様は、幾匹も葬って来たザコモンスターたちと、何も変わらなかった。
ただ己の身を蒼く荒いポリゴンへと変え、痕跡も無く砕け散っていく、余りに安っぽいその最後すら……何処までも、変わらなかった。
その “死” は、間違っても人間の死だと認めて良い筈も無い、生命に対する限りない『侮辱』だとも、いえるかもしれない。
人間の死、そして指揮官の死。
これだけでも余りに衝撃が深いというのに…………ごく当たり前の如く、戦いは続いて行く。
「うわあああぁぁぁぁっ!?」
「き、聞いてねぇぞ! またPOPするなんて!」
ベータとの違いは《コボルドロード》の武器種変更だけでなく、《コボルド・センチネル》のPOP回数にもあった様で、ベータテスト時代ならばもうボスに集中すればよかっただけの戦闘も、この場では更なる取り巻きの掃討に当たらねば練らなくなっていた。
それでもゲームと観点で言うならば、別段苦も無い状況だ。
何せ指揮するプレイヤーが居なくなっただけ。パーティー毎に動きつつ、足りない部分を援護すればよいのだから。
だが……このゲームで掛っているのは現実の命で、居なくなった事はそれ即ち『もう二度と会えない』事と同義。
楽観的に構えても順序良く進んでいた闘いから、一気に夢から覚めたみたく『死』という現実を認識させられ、恐慌をきたした彼等にスムーズな立て直しなど出来よう筈も無い。
心の拠り所も無くなった今のプレイヤー達の間には、嘗ての滑らかな連携など既に、有って無い様な物だった。
(よりにもよって……最悪の代償と引き換えに……っ。……これじゃあ、これじゃもう……)
より間近で見届けてしまったアスナにぶつけられた衝撃波、余りにも大きい。
レイピアを片手に茫然と立ち尽くし、周りから引っ切り無しに上がる悲鳴と、サウンドエフェクトを受け更に震えを強める。
もう、散り散りに逃げる他、この場を乗り切る手段がない。
希望も無い……無い、筈なのに――――
「うぉおおおおおぉぉぉっ!!!」
「イィィイィッハァアァァーーー!」
たった二人、されど二人、確かにこの逆境に抗っている。
キリトが巨大なる
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