十節・立ち向かう戦士達
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から見ているだけの者達からすれば、ベータテスターがビギナーをほっぽり出して美味い汁を吸い続けた結果、死人が出てしまったとしか見えないだろう。
……勿論ながら、全員が全員そう思う訳では無かろうが、それは攻略組でも同じこと。
グザの意見を『彼もまた元ベータテスターだろうから』という証拠も無く、理屈の立たない理由で否定する輩も出て来る可能性は否定できない。
今は序盤も序盤な為、表立って批判しのけものにする事など、戦力や情報の面から言って言語道断。
だからこそ現在に限るなら、単なる軽い軋轢で収まるとしても―――――長期的に見れば、決して無視できない歪みとなる。
「けど、あんたは何も言わずに置いてくれ。ベータとビギナーの橋渡し役は、一人でも多い方が良い」
「……了解ダヨ」
アルゴが何か言う前に依頼者はトレードウィンドウからコルを渡し、そのまま背を向けて扉の方へと歩いて行く。
されど扉の取っ手に指を掛けてからすぐには開かず、背を向けたままアルゴに問いかけた。
「……俺の他に、この情報を聞いて来た奴が要るな?」
「如何してそう思ウ」
「いや……何、情報があまりにも早かったから、事前に調査していたのかと思ってさ」
「ハハハ、こりゃもうちょっと時間置くべきだったカ」
アルゴは苦笑いしながら、依頼者の推測を肯定した。
だがその後の言葉で、一旦は笑みを消す事となる。
「少なくとも一人、代役となれる人物が居る……って事か」
「アイツはリーダーなんて買って出るタイプじゃないヨ―――――『ディアベル』」
依頼者……ディアベルはアルゴの言葉に苦笑しながら、今度は顔だけ振り向き、静かに告げた。
「一時的な物だ、俺が死ぬって前提もあるしな。それに…………」
「あ……あぁっ!?」
「えっ、どうしたの!」
「横線が……!!」
「……!」
アルゴが回想から引き戻されたのは、プレイヤー達の中から悲鳴が上がったからだった。
つまり《生命の碑》に変化があったという事であり…………誰かの命が失われた事に、他ならない。
やはりベータとの違いはボスにも及んでいたのかと、焦燥に駆られながらアルゴは石碑に眼を走らせる。
一体誰が、どのプレイヤーが葬られたのか。
そうして発見してしまう……光のラインがゆっくりと、横線を刻んで行く様を。
その死の横線を刻まれし、アバターネームは―――――
「ディア……ベル……!?」
・
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「あ…………あ、あ……」
「ディ……ディアベルっ……!?」
キリトの、アスナの目の前で。
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