暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
十節・立ち向かう戦士達
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 第一層、黒鉄宮―――《生命の碑》前。


 ベータテスト時には組成ポイントであったそのエリアも、デスゲームである今では生者と死者の存在を伝える、無慈悲な石板しか置かれていない。
 ……普段ならば人など余り訪れず、稀に赴いても疎らにしか居ないこの広場だが、今は数十人ものプレイヤーが集まり一様にざわめいている。


 理由はただ一つ、二か月もの間放置されていた迷宮区の攻略に、四十人あまりのプレイヤー達が乗り出したからだ。


 アインクラッドを踏破出来るのか、否か……今回決まるといっても、決して過言ではない。
 けれども皆それが分かっていて集まっているというよりは、何の情報も無くただ待っている事が出来ない者達と、そう言った方が良いかもしれない。
 
 何処に居ようと不安事態は募るのだから、せめて生死ぐらいは知る事の出来る、この《生命の碑》の傍にいるのだろう。
 尤も――――集まったプレイヤー全員が望んでいるのは、言わずもがな攻略に向かった全プレイヤーの生還であり、此処で悲劇が起こってしまう事など正直誰も望んではいない。


 皆が、不安と心配から取りとめも無い会話をかわし、吉報を願い凶報の訪れを望まぬ中…………


(上手く行っているのカ? キー坊達は……)


 情報屋である《鼠》のアルゴもまた、群衆に交じり安否を気遣っていた。

 しかし他のプレイヤー達とは違い、アルゴの脳内にあるのはフロントランナー達の無事だけではない。
 もう一つ…………とあるプレイヤーとの会話も、頭に中に走っているのだ。





 それは数日前の、とある日の夜。
 システム的には誰でも出入り可能で、されど古臭過ぎてカビており誰も近付きそうにない、そんな空家の中で、アルゴはとある人物と情報の取引をしていた。


「鳴る程……総合するとベータテスターの死亡率は、約40%にもなるか……」
「マ、要するにそういう事だナ」


 どうもそのプレイヤーは死亡者の何割がベータテスターだったのかを知りたがったらしく、かなりの金額(コル)を積んでアルゴに依頼していた。

 そして出た数値は約半分近くに及ぶという結果であり、これは一般的にビギナー達が考える、予想する数値を遥かに上回っていると言える。


 その原因は―――


「……会議でもグザの奴が言ってたガ、やっぱり『製品版とベータとの差異』が、しかし洒落にならナイ毒針の如く貫いてきたんだろうサ…… “命” を、ナ」
「だが死人に口なし―――そんな事ビギナー達は知る由も無い……もし情報の違いから、対応が遅れて一人でも死人を出した瞬間、ベータテスターへの不信は瞬く間に広がってしまう……!」


 攻略に参加している者たちならば兎も角、後ろ
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