十節・立ち向かう戦士達
[1/12]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第一層、黒鉄宮―――《生命の碑》前。
ベータテスト時には組成ポイントであったそのエリアも、デスゲームである今では生者と死者の存在を伝える、無慈悲な石板しか置かれていない。
……普段ならば人など余り訪れず、稀に赴いても疎らにしか居ないこの広場だが、今は数十人ものプレイヤーが集まり一様にざわめいている。
理由はただ一つ、二か月もの間放置されていた迷宮区の攻略に、四十人あまりのプレイヤー達が乗り出したからだ。
アインクラッドを踏破出来るのか、否か……今回決まるといっても、決して過言ではない。
けれども皆それが分かっていて集まっているというよりは、何の情報も無くただ待っている事が出来ない者達と、そう言った方が良いかもしれない。
何処に居ようと不安事態は募るのだから、せめて生死ぐらいは知る事の出来る、この《生命の碑》の傍にいるのだろう。
尤も――――集まったプレイヤー全員が望んでいるのは、言わずもがな攻略に向かった全プレイヤーの生還であり、此処で悲劇が起こってしまう事など正直誰も望んではいない。
皆が、不安と心配から取りとめも無い会話をかわし、吉報を願い凶報の訪れを望まぬ中…………
(上手く行っているのカ? キー坊達は……)
情報屋である《鼠》のアルゴもまた、群衆に交じり安否を気遣っていた。
しかし他のプレイヤー達とは違い、アルゴの脳内にあるのはフロントランナー達の無事だけではない。
もう一つ…………とあるプレイヤーとの会話も、頭に中に走っているのだ。
それは数日前の、とある日の夜。
システム的には誰でも出入り可能で、されど古臭過ぎてカビており誰も近付きそうにない、そんな空家の中で、アルゴはとある人物と情報の取引をしていた。
「鳴る程……総合するとベータテスターの死亡率は、約40%にもなるか……」
「マ、要するにそういう事だナ」
どうもそのプレイヤーは死亡者の何割がベータテスターだったのかを知りたがったらしく、かなりの金額を積んでアルゴに依頼していた。
そして出た数値は約半分近くに及ぶという結果であり、これは一般的にビギナー達が考える、予想する数値を遥かに上回っていると言える。
その原因は―――
「……会議でもグザの奴が言ってたガ、やっぱり『製品版とベータとの差異』が、しかし洒落にならナイ毒針の如く貫いてきたんだろうサ…… “命” を、ナ」
「だが死人に口なし―――そんな事ビギナー達は知る由も無い……もし情報の違いから、対応が遅れて一人でも死人を出した瞬間、ベータテスターへの不信は瞬く間に広がってしまう……!」
攻略に参加している者たちならば兎も角、後ろ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ