矢矧
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ていた。
深呼吸をしながら、戸をノックする。
「提督、いらっしゃいますか?」
返事がない。
もう一度、今度は少し力を強めてノックする。
「提督、夕飯のお時間です。早くしないと冷めてしまいますよ?」
やはり返事がない。
失礼かと思ったが、この場合は仕方がないと割り切り、ドアノブを回す。
戸を開くが、中は暗い。
「電気のスイッチは…、あった」
電気をつけると、部屋の真ん中に提督が座っているのが見えた。
丁度東の方向を向いている。
だが、体勢がおかしい。
坐禅でもくみながら、寝てしまったのだろうか。
私は提督の後ろから肩をたたいた。
反応がない。
視界の端に見覚えのあるものがあった。
そちらを向くと、そこには刀の鞘だけがあった。
じゃあ刀本体はどこに…、と部屋を見渡すが、どこにもない。
ふと、提督の体に見覚えのある物、刀の柄があった。
「!!?」
提督の体を起こしてみると、提督の体はとうに冷え切っていた。
そこから私の記憶は無くなった。
「軽巡矢矧、着任したわ。提督、最後まで頑張っていきましょう!」
何か忘れているような、そんな気持ちを抱え、私は私を必要としている提督へ敬礼をした。
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