九十八 思案の外
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だが一方で、ナルと対峙した相手の容姿を耳にして、シカマルは眉を顰める。以前ナルから受けていた相談の中にあったアマルという人物に思い当って、シカマルは今更になって彼女をサスケ追跡部隊の一員にした事を後悔した。
友であり仲間のサスケを追い駆けた矢先、決別した友と敵として再会したナル。その心情を慮り、シカマルの心は沈む。
我愛羅によると、二人の敵と対峙したナルは相手になんらかの攻撃をしようと接近したらしい。
直後、眩いばかりの光が迸り、無事サスケを見逃した我愛羅が光の発信源に眼を遣った時には、ナルの前にいた敵二人の姿は無かった。
代わりに、霧のようなモノが彼女の周りを取り囲んでいた為、我愛羅は慌ててナルの許へ向かった。その霧が見るからに毒々しい色を帯びていたからである。
ナルを絶対防御たる砂の円球内に閉じ込め、自らも毒霧から身を守る。霧が引いたと完全に把握してから、絶対防御の砂を解いた途端、我愛羅の前にシカマルが現れたのだという。
気絶したナルを自分が木ノ葉まで運ぶと言って聞かない我愛羅に少々苛立ちながらも、シカマルは我愛羅と共に里までの道のりを引き返した。
道中、犬塚キバ・山中いのと合流する。仲間の無事な姿に安堵するのも束の間、いのを助けたというサイという少年に不信感を抱く。
いのの口添えがあって、サイが去ってゆくのを黙って見逃したシカマルだが、この事は既に綱手に報告済みである。
また、音忍五人衆の中で最強らしき君麻呂と闘ったネジは、前以って綱手が派遣した医療班が回収している。
折しも『終末の谷』上流で見つかったネジをその場で緊急治療した後、サスケ追跡の際に参戦したヒナタとシノを伴い、木ノ葉病院へすぐさま護送したようだった。
綱手自らがネジを診たところ、命に別状は無く、すぐに意識が戻るだろうとの事である。
木ノ葉に帰還し、火影室へ直行したシカマルは、綱手から仲間達の無事を改めて聞かされ、ほっと肩の力を抜いた。ネジと同じく木ノ葉病院へ連れて行ったナルは、現在病室で横になっている。想い人の無事を喜ぶと共に、シカマルは顔を曇らせた。
いくら外傷は少ないと言え、ナルの心の傷はあまりに大きい。
スパイとして音隠れの里へ向かったサスケは、表向きには里抜けした罪人である。つまりは、木ノ葉を裏切った抜け忍だ。その上、以前仲良くなったというアマルもまた、ナルと決別し、大蛇丸の許へ走った。
友人二人を無くし、失意の底に沈んだばかりの彼女に、春野サクラまで里抜けしたなどと誰が言えるだろう。サスケに続いてサクラまで、同じ七班の仲間を同時に失って、ナルはどう思うだろう。なんて声をかけたらいいだろう。
ナルの心情が痛いほどわかって、シカマルは益々思案に暮れる。
周りからは散々聡明だとか、切れる頭脳だと言わ
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