九十八 思案の外
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った。
サクラちゃん、と慕ってくれるナルを妹のように思うのと同時に、この子は自分を目標にしているのだ、自分に憧れて追い駆けているのだと勝手に思い込んでいた。
かつて、山中いのに憧れたサクラ自身のように。
だからだろうか。
いくら、同じ班の女の子でも、サスケはナルに見向きもしないだろうとサクラは思っていた。
落ちこぼれであるナルと、優秀な自分ではサスケはきっと自分を選ぶ、だなんて勝手な安堵感を得ていた。
よって、サクラはナルを恋のライバルだとは微塵も思っていなかった。
むしろ女としての魅力を始め、体力面・頭脳面等何もかも自分のほうが勝っていると考えていた。
何の焦りも感じていなかった。
けれど、今や逆だ。
劣等感の塊だったナルがどんどん心身共に成長するのを目の当たりにして、サクラの胸中には酷い焦燥感が培ってゆく。
サクラ自身はアカデミーの頃と全く変わらないのに、いつの間にか、ナルはずっと先を見ていたのだ。前へ前へと進んでいる。その事実に愕然とし、同時に彼女は気づいた。
単なる器用貧乏なだけの自分は、大した取り得のないくノ一に過ぎないのだと。
その認識の決定打となったのは、『木ノ葉崩し』にて、我愛羅を追ったサスケを追い駆けていく際、奈良シカマルに何気なく言われた一言。
『大した取り得のないくノ一』
そこで初めて、彼女は思い知った。自分の力の無さを。
内心馬鹿にしていたナルの急成長ぶりに、人知れず戦慄するサクラ。
同時に、同じ女でありながらナルに嫉妬と羨望、そして劣等感を彼女は抱いた。
追い駆けられていたはずが何時の間にか追い越されている。その事実を認めたくは無い。
でも、どうすればよいのか解らない。
努力だとか精進だとかは今まで自分には縁の無いモノだと思っていたのだから。
それに自分は女だ。女というのはか弱い生き物で、男には敵わないモノだ。
そんな甘ったれた言葉を言い訳にして、何もしなかった、そんな愚かな自分が。
今更になって、どうしようもなく嫌いになった。
だからサクラは、その時何故か自分を助けてくれた香燐という少女の助言を素直に聞いた。
自分の特技や取り柄を見つけるようにとの指摘を受け、サクラがまず思い浮かべたのは担当上忍たる畑カカシの意見。
幻術の才能があると言われたばかりのサクラは、すぐにその言葉に従った。
『木ノ葉崩し』以降、即座に幻術が得意な夕日紅の許へ向かい、教授してもらう。
そうして今までとは一転して、一心不乱に修行する毎日をサクラは送った。
ナルが連れ帰ったという五代目火影が就き、里が平和を取り戻したかのように見えた時も、自分と同じ名の花が舞い落ち、家族が花見を楽しむ季節になっても、サクラはひたすら幻術の修行に打ち込んだ。今まで
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