逆転の発想
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ンは俺を指差しながら答えを言う。
「シリルの速度が落ちてるんだよ」
「・・・は?」
一瞬頭がついていかなくなる。俺の速度が落ちてる?
「そ・・・そんなことあるわけないじゃん!!」
こういってはなんだが、俺はまだ全然疲労している感じはない。ベストの状態に限りなく近いといって良いだろう。それなのに、速度が落ちているとは考えられない。魔力も第二魔法源のおかげでかなりあるはずだし、そんな騙しを食らうはずない。
すると、レオンは肩をすくめてため息をつく。
「わかってないなぁ。シリルの速度は落ちてるよ。いや、というよりも、この吹雪の中にいる大半の人間の速度は落ちてる」
「?どういうこと?」
この中にいる人間の?この吹雪自体が相手の速度を落とす魔法なのかとも思い聞いてみたが、レオンはそれを否定する。
「この吹雪は視界を遮るだけじゃない。寒さで相手の筋肉を硬直させているんだ」
「寒さで?」
「そう。人間は皆寒ければかじかみ、動きが鈍る。ただ相手も同じように速度が落ちてるからみんな気付いてないだけ。俺やリオンくんのような氷の魔導士と戦っていれば、すぐにそれに気付くはずなんだけどね」
魔法の特性じゃない。人間の特性をついた作戦ということか。言われてみると、寒ければ普段よりも動きが悪くなるのはすぐにわかることだ。レオンが普通の速度で迫ってきているから、自分自身に起きていた異変に気付かなかったのか・・・
「相手が早くて当たらないなら、相手に自分のレベルまで落ちてきてもらえばいい。それが一番簡単なことだからね」
確かにその通りだ。今まで戦ってきた人や見てきた人たちは、みんな相手が強ければ自分がそのレベルにいこうとし、魔力を上げる何かをしていた。だけど、彼のように相手に自分のレベルまで落ちてきてもらえば、単純な話自分が相手のレベルにいくのと同じような状況を作り出せる。
相手と対等に戦うために、自分の能力ではなく相手の能力を変化させるか・・・逆転の発想だな・・・
「でも・・・それも簡単なことじゃないと思うな・・・」
相手に落ちてきてもらうならば自分にかかる負担も減少するだろう。だけど、今のレオンはかなり無駄な魔力を使っていると思う。こんな広範囲に魔法をやるなら、自分の魔力を高める魔法を身に付けた方が魔力の減りなども考慮すると最善の策だと思う。あとで教えてやるかな。
「だったら俺は・・・自分を信じる!!」
レオンがそう言う方法を取るのなら、俺は今までやって来た自分を高める道を選ぶ。むしろ、それしか俺にはやれることがないのだから。
「モード・水天竜!!」
全身に風を・・・ウェンディの魔法と同じものを纏っていく。それを見たレオンは「お?」といい、何か驚いたような顔を
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