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大刃少女と禍風の槍
九節・《狗頭の君主》
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ぐに叫ばれた。


「武器の打ち払いを頼む! 俺が喉を撃つ!!」


 言いながら《コボルドロード》へ近付いたディアベルへ、相手もまた刀を振り翳し反撃のモーションを起こす。
 同時に狗頭の君主の刀へ、赤灰色の光が発生する。


 ディアベルも構え―――しかし、その光を『知っていた』キリトが次の取ったのは、援護ではなかった。


「や、やめろ!! スキルモーションを起こすなぁあっ!!」


 キリトの声は何の恨みか、大音量のサウンドエフェクトにて、余りにも容易にかき消されてしまう。
 だからこそ伝わらず……ディアベルはそのまま盾を構えて、連撃にて葬るべくスキルを始動させる。

 直後、後方に引き絞られていたコボルドの刀が、大きく弧を描いて盾に迫る。


「『シィィイイッ!』」
「な!?」


 正にその寸前で軌道を体ごと変え、刃はディアベルの喉元へ向けて薙がれた。
 盾にぶつかるその刀剣は、横に構えていた所為で滑るように迫りくる。


「危ないっ!!」
「えっ……!?」


 咄嗟に伏せてアスナをかばい、次に顔を上げたキリトの目に映ったのは―――


「キ、キリトさん……」
「!!」


 頭の上部を斬り飛ばされた、ディアベルの姿だった。


「後はた……頼む、ボスを……倒し―――」


 その言葉を最後に、『騎士』ディアベルは無情にもポリゴンの欠片へ代わり……虚空へと消えた。




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