暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
九節・《狗頭の君主》
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ってもしかして!?」
「もしかしてもねえわな……!」
「やばい……アレはどうみたって―――」


 ―――『日本刀』に、他ならない。


「βと違うっ……ディアベル駄目だっ!! まだ突っ込むなぁああああっ!!!」


 最高峰からのキリトの警告に、しかし反応出来たのはキバオウ隊のみ。

 大きく振り上げられた太刀は血色の輝きを迸らせ……《コボルドロード》は縦に斬る事などせず、自分の巨体を軽くだが、飛び上がるほどに浮かせる。

 そしてそのまま―――

「『グラアアアアアァァァッッ!!!』」


 血色の車輪を残して全方位を切り払った。

 叫び声も上げられず吹き飛ばされたディアベル隊のメンバーは、それでも何とか持ちこたえている。 しかし……状況は好転しない。

 今のスキルの威力故か、一時的行動不能(スタン)状態に陥り隙を晒してしまっているのだ。
 次の標的として《コボルドロード》が選んだのは―――――目の前に座る、短髪の男性。


「『グルルゥゥゥッ……!』」
「ひ……!?」

「あ、あかん……追撃が来る……!!」


 駆けつけるには距離が遠く、今まさに走り出している物も間に合わない。

 彼等をあざ笑うかの如く、鮮やかな青に染まった凶刃がプレイヤー目掛けて振りそそぐ―――!


「くう……ああぁぁっ!!」
「へっ……!?」

「ディアベル!?」
「や、やった防いだ!!」


 寸前、カイトシールドを掲げて割り込んだディアベルが、己の仲間を守る盾となった。
 正に『騎士』と湛えても遺憾ないその雄姿に、プレイヤー間に漂っていた靄が少し晴れていく。

 その光景に安堵しながらも、己の剣をきつく握りしめたキリトは、グザの方へ大声で呼びかけた。


「グザ! 取り巻きのコボルド、一人で相手できるか!?」
「大丈夫だわな! オレちゃんを舐めて貰っちゃあ困るやね!」
「あんな動きしてる奴を舐められる訳無いだろ!」


 次に話しかけるは、横で待機しているアスナだ。


「…………君は、一緒に来てくれるか?」
「言われなくても。同じパーティーなんだから」


 頷き合い、猛烈なスピードで前線目掛けて駈け出した。

 通り過ぎる傍らにも、パーティープレイを優先して他の部隊へ声を掛けた。


「タンク部隊続いてくれ! ピヨったC隊の援護を!」
「あんた等はどうする気だ!?」
「「引きつける!!」」

「イーーーッハアアァァァァ!!」


 何という偶然か……二人の声と、グザが槍を打ち込む音が重なった。

 そのやり取りを耳にしながら、後ろへ視線を向けていたディアベル。
 悩むかのように目を一瞬伏せる……が、答えはす
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ