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大刃少女と禍風の槍
九節・《狗頭の君主》
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パターン化されたコンビネーションが始まる頃には、遂にボスのHPが三分の一近くになっていた。

 このまま行けば、LAはまず間違いなくディアベルチームの誰か―――否、ディアベル本人が取っていくだろう。

 だがしかし、ソロプレイヤーである己よりも、多数の人間を導く立場にある彼の方が今回のLAを得るべき人間だと、キリトも少なからず感じている。


「『グルアァァァッ!』」


「やった! 斧を手放した!」
「おおっ!!」
「よし! 腹武装の《湾刀(タルワール)》で来るぞ! 喉もとを突く基本を忘れず油断なく攻めろ!」


 空気を鈍く切り音と、落下時の衝撃音が響き、それは《イルファング・ザ・コボルドロード》のメインウェポンが変わることを意味していた。
 瞳を光らせバーサク状態で暴れるのは恐ろしい限りだが、実は縦切り系のスキルしか繰り出さない事を、ベータ時代に経験したキリトは知っている。

 もう後は目の前のコボルドを倒せば、それで終わりだと言う事もあってか、キリトはグザの呑気さが移った様な声でアスナに問いかけた。


「なぁ……そう言えばタルワールって何処の武器なんだ? 二人とも知ってるか?」
「シャアアアァァッ! ……っと! いや、オレちゃんは知らんわな」
「私は知ってるわ……よっ!!」


 言いながらでも相手できるようになった二人がコボルドの動きを鈍くし、そこからアスナがキリトへ振り向いて質問に答える。


「イスラム圏や中近東の、細身な片刃の剣よ。ダマスカス鋼が使われていて、サーベルよりも大きく反っているのが特徴なの」
「へぇ〜、勉強になるなぁ」


 素直に感心して声に出したキリトだが、こういう事には真っ先に反応する筈のグザが答えていない事に、二人とも気が付く。
 デバフの所為でコボルドは思うように動けておらず、相手の攻撃に手いっぱいという風には見えないのに、何故かという思いが彼らの心に伝来する。

 如何したかと、キリトがまずスキルで武器を跳ね上げてから、代表して彼へ声を掛ける。


「……おい、坊主よ」


 その前に、グザがあまりに真剣な声で逆に声を掛けてきた。


「な、何だよ行き成り……そんな声出し―――」
「アレ、本当に『タルワール』かい?」
「……は?」
 

 素っ頓狂な声を出しながらも、今まさに腰布を解いて刀身をあらわにした剣は―――――反りが曲刃より甘く、そして刀身に浮かんでいるのはダマスカス特融の木目ではなく……玉鋼を加えられたの様な鋭い輝き。

 そして刀身と柄の間に有る小銭の様な丸い唾と、部分的に鋭角になった尖端。

 間違っても東洋の剣ではない。
 キリトらの住む日本に伝わる伝統的な刃器――― 


「あ、あれ
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