九節・《狗頭の君主》
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さして笑う為では有るまい。
だからキリトを妨害するに足る理由はもう一つ、『己がLAを手に入れる確率を上げる』事に他ならないだろう。
更に付け加えるのならば……それを発案したプレイヤーは今、LAに“元も近い位置”にいなければ、そもそも考案する意必要性が足りず、話にすらならない。
最後の確信的な事柄として、キバオウの様な疑り深いプレイヤーでも信用してしまう程、その人物は信頼性が高くては駄目なのだ。
つまり――――
(ディアベル……アンタなのか……?)
……考えてみれば、ディアベルがベータテスターではない証拠など何処にもない。極端な話、ベータテスターであろうとも黙っていれば分からないし、矢面に立たないとも限らないからだ。
指揮能力の高さだって、以前他のゲームでリーダーをしていたと理由以外にも、穿った見方をすれば『ベータテストで経験した』という可能性もあるかもしれない。
ベータテスターとは違った生き方で攻略を進めようとする人物に見える事もあり、キバオウが信頼を置くには充分な人物とも言える。
思い浮かべてしまった所為で、キリトの視線は自然とディアベル率いるC隊の方に向いていた。
そこでは今まさに三本目のHPを削り切り、自分達のHPは念を入れたかフル回復させて、F・G隊と交替している光景が目に映った。
「いくぞ! コレが最後の攻防……気を抜くなよ!」
「「「おおっ!!」」」
「『グルルゥ……グルオオオォォォォォォォッ!!!』」
ディアベル達の雄叫びに答えるかのごとく、《イルファング・ザ・コボルドロード》もまた咆哮。
同時に横の穴から《ルインコボルド・センチネル》が飛び出し、三度目の湧出を告げていた。
キリトはそれを合図に背後へ目線を戻すも、既にキバオウは自分のパーティーであるE隊の元に戻っている。
仕方なく、キリトもアスナとグザの元へ駆け寄った。
「何を話していたの?」
「……あ、いや…………」
「オイオイ嬢ちゃん、まだ戦は終わって無いぜ? まだ来るからそっちに集中しようや」
「……言われるまでもないわ」
言い淀んだキリトは話すべきかどうかを考えかけ、されどグザは相手がキバオウである事からある程度察してくれたか、アスナの注意を前方のコボルドへと誘導してくれる。
そしてまた皆揃って武器を構えた。
距離があるからか駆け寄ってくる間にも前線と《イルファング・ザ・コボルドロード》との闘いは進み、ディアベル達が喉元狙いの果敢な攻めを見せ、HPはより早く確実に減っていく。
《ルインコボルド・センチネル》の武器と、真正面からキリトの剣がぶつかり、グザが妨害を重ねてアスナが一撃を加える。
……
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