九節・《狗頭の君主》
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されとんのや。β時代に汚い立ち回りでボスのLAを取りまっくっとったちゅう、盾無しのソードマンの話を……お前の事や」
「……何?」
予想外の内容に思わず顔ごと振り向く。
LA―――ラストアタックボーナス。
名の通りボス級モンスターを倒した際、最後にとどめを刺したプレイヤーがもらえる特別な報酬の事で、フロアボスやイベントボスなど一回しか取れない時もあり、LAが喉から手が出るぐらい渇望するプレイヤーは山ほど居るだろう。
そしてキバオウが言っていたように、キリトはβテスト時代にモンスターの残りHP残量を計り、そこから導きされた最適解にてLAを獲得する事を得意としていた。
だが……彼の内心には、如何にもふに落ちない物があった。
(今キバオウは『聞かされている』って言ってたよな……一体誰に……?)
少なくともキリトは、自分の脳裏に思い当たる人物はいないと、そう確信している。
確かに情報屋としてなら《鼠》のアルゴが居るのだが、通常プレイヤーとベータテスター間の軋轢が広がる事を危惧した彼女は、β時代の情報を一切売らない事もポリシ−とした。
その事からアルゴである事は考えにくい……ならば、誰に聞かされたのか。
と―――其処でキリトは、今の今まで引っ掛かっていた事を思い出す。
(まさか、俺の《アニール・ブレード》を買い取りたいってプレイヤーから……!)
それなら辻褄は合う。
β時代にキリトを知っていた者なら、キリトがβから名前を変えていない所で、同一人物かもしれないと予測することは可能だろう。
武器をキリトの手からはたき落とし、己の手の内に入れる事が出来れば、『LA取得の阻害』を期待できるのだ。
β出身で無い事を行動でも極力明かさなければ、潜り込む事だって別段難しくは無い。
結果的に武器を手に入れる事こそ出来なかったものの、キリト自身は後方の取り巻き相手をさせられているので、目論見自体は成功したと言える。
されど……一方で、これではキリトの戦力をそいで得する人物とは誰なのか、またも疑問が残る事となる。
しかしヒントが皆無な訳でもなく、加えてキリトには一つの“あて”があった。
「……それを離したプレイヤーは、どうやってベータ時代のネタを得たんだ? キバオウ」
「大金を積んでネズミから買った言うとったわ。潜り込んだ小ずるい奴等をあぶり出す為にな」
ビンゴ。
キリトは心内でそう叫ぶ。
これで、キバオウに情報を提供したプレイヤーの姿が、ハッキリと映ったからだ。
デスゲームであるSAOなのだから、キリトの妨害をする理由はLA取得を妨害し、ただ単に後ろ指を
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