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大刃少女と禍風の槍
九節・《狗頭の君主》
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クチク蚊ほども威力がない攻撃を重ねながら、キリトやアスナにばかり注意が向かないようちょっかいを掛け、必要だと判断した時には迷う事無くスキルにて貫く。
 時にはキリトとアスナのすぐ傍から放つにも拘らず、彼女らの行動は一度たりとも疎外された事が無い。
 寧ろグッドタイミングで身を翻し、相手AIにとっても予想外であろう行動を誘発するぐらいなのだ。


 しかしながらアスナにとって、彼の真価はそれではないと、そう考えてもいた。


(あの人の本領は援護なんかじゃない……余りに、常人離れした―――)


 余裕が出て深く考え込んだからか、アスナの思考は其処まで進む。


「二本目!!」
「「「おおおおぉぉっっ!!」」」

「来るぞ! 二人とも!」
「! ……ええ!」
「あいよぉ!」


 と……ディアベルの高らかな声が、HPバー一本目を削り切った事を皆に伝えたと同時、玉座横に有る不自然な穴から、またも複数の《ルインコボルド・センチネル》が飛び出してきた。

 敵が同じならば此方の対処の仕方も変わらない。
 キリトが片手直剣を、グザが両手槍を構えるのを見て、アスナもまた静かにレイピアの尖端をコボルドへ突き付けた。














 キリトは少々ながら興奮を覚えていた。
 当初に己が抱いた予想よりも、《イルファング・ザ・コボルドロード》戦が順調に進んでいたからだ。


 まずD隊が一本目を削り切り、ディアベル率いるC隊が続く二本目を、現在はF隊とG隊が協力して三本目を消しにかかっている。

 本来ならG隊は、キバオウがリーダーであるE隊の援護をする筈なのだが、E隊とオミソ組であるキリト、アスナ、グザのパーティーが……特に余り物パーティーがとてつもない火力を叩きだしていたので余裕が出来た為、ディアベルはG隊へ前へ出るよう指示出ししたのだ。

 瞬時に作戦を立て直し、上手く噛み合わせるその手腕に、キリトは少なからず驚嘆している。

 更にアスナがキリトの実力に驚いていたが……実の所、キリトもまたアスナの実力とその奮戦ぶりに、ゾクリとした震えを感じているのだ。
 こと彼女の十八番である【リニアー】に置いては、体を意図的に動かしブーストしている事もあり、初動から発生までが恐ろしい速度を誇っている。


(未だ初心者な状態で……この完成度かよ……!)


 再び背筋をブルリ、震わせて彼女の―――いや、自分達の闘いを見やる。
 何時でも突入できるよう剣を構え、タイミングを計るべくコボルドを睨んだ。



 アスナはコボルドの目の前で軽やかにステップを踏み、左右への回避で大味な攻撃をスルリと躱してく。
 進展のない攻防が二、三度続き、不意に
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