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下着は何
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第二章

「何かスポーツマンって感じでいいわよね」
「そうそう」
「昔の褌なんてどう?」
 今度はこの下着まで出て来たのだった。
「褌。どうかしら」
「あはは、今時そんなのないわよ」
「そうそう」
 それは皆で笑って否定するのだった。
「褌はね。ないって」
「今そんなのはいてる人いないわよ」
「けれどあれもよくない?」
 それでも一人が言うのだった。
「もうさ。日本男児って感じで」
「そういえば昔の海軍って褌なのよね」
「当たり前だけれどね」
 帝国海軍の褌は海軍の特別の褌だった。これは海に落ちた時を考慮してのことであるという。
「海軍っていえば格好いいけれど」
「じゃあいいかも」
 そんな話にもなるのだった。
「あの軍服を脱いだら褌っていうのもね」
「いいんじゃないの?」
「やっぱり日本男児よね」
 この日本男児ということがとにかく強烈な魅力になっていた。
「褌ってね」
「けれどねえ。実際に褌っていうと」
 しかしここでまた一人が困ったような顔で言うのだった。
「もういないのよね」
「赤褌なんかいいと思うけれどね」
「そう?褌っていったらやっぱり白じゃないの?」
「それかしら」
 少なくともブリーフやビキニよりはずっといい評価であった。
「お相撲さんの褌も悪くないけれどね」
「それでもねえ」
 こんな話をしていく。彼女達はかなり乗っていた。しかしであった。そんな彼女達を見ているクラスの男組はどうにも難しい顔をしているのだった。
「一体何の話をしてるんだよ」
「全くだよ」
 こう言って難しい顔をしていた。
「男の下着なんてどうでもよくないか?」
「なあ」
「そんなのな」
 これが彼等の意見だった。
「そんなのよ。どうでもな」
「何でそんなの気にするんだ?」
「訳わかんねえよ」
 こう口々に話すのだった。
「本当によ、そんなのよ」
「変な話だよ」
「まあそれでもな」
 だがその中で一人が言うのだった。
「御前下着なんだよ」
「ああ、俺?」
「俺もか」
 ここで他の男子達は彼の言葉に顔を向けるのだった。
「俺の今の下着かよ」
「何かってかよ」
「ああ、それだよ」
 彼はそれだと指摘するのだった。
「御前等今何だ。俺はトランクスだけれどよ」
「ああ、俺も」
「俺もだよ」
 彼等はすぐに答えるのだった。トランクスだと。
「だからよ、ブリーフなんてよ」
「あんなのよ」
「だせえんだよ」
 こう言って皆あからさまに嫌うのだった。
「童貞パンツなんてよ」
「冗談じゃねえぜ」
「俺の彼女の前にあれはいて出られるかってんだよ」
「なあ」
 皆口々に言い合う。彼等も彼等で自分達でばらしていることに気付いてはいない。

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