第3章 黄昏のノクターン 2022/12
32話 闇に堕ちた者達
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晒すような真似だけは御免被る。
「襲撃の日取りは分かるのか?」
「………五日後には、カレス・オーの軍勢に船が提供され、襲撃が決行されると聞きました………幸い、他の皆様には音が小さ過ぎたようで、私しか聞き取れなかったようですが………」
「キャンペーン・クエストを進めてくるのは厳しいか………」
「それと、彼等は双方の争いに乗じて秘鍵を奪取するつもりのようです………第三層での秘鍵確保は成功したようですので、今はヨフェル城にあるとも聞きましたが………」
どこまで深く情報を収集したのか。エルフの聴覚の鋭さに戦慄しつつ、しかし現状で可能な手段を模索するが、どれも一歩届かないものばかりだ。
それに、ヨフェル城に秘鍵があるとすれば、黒エルフの捜索部隊――――黒エルフの国であるリュースラ王国の《エンジュ騎士団》なる組織は一部分を駐留させるにしても上層へ引き上げていると考えて然るべきだ。加えて、彼等が確保した秘鍵がヨフェル城にあるとすれば………
「待てよ、じゃあ、ティルネルのお姉さんは、あの城に居るかも知れないってことじゃないのか?」
「………確保された秘鍵の守護は、姉の任務でしたから………間違いなく、ヨフェル城に駐留しているでしょうね………」
絶望的としか思えない。これほどまでに追い込まれることになろうとは思いも寄らなかったが、俺達には状況を打開する手段など皆無だ。これほどに無力を思い知らされることもないだろうが、今は嘆いていても何も始まらない。
「とりあえず、ここを出るぞ。街に戻らないことには何も始まらないからな」
「………そう、ですね」
力無く立ち上がるティルネルを見届け、なんとか息を吹き返した女性陣を先導しながら係留しておいたゴンドラまで戻る。マップデータに記録しておいた往路を辿りながら歩を進める。
半円ホール周辺しかフォールンや水運ギルドは確認できず、とくにモンスターと遭遇することもなく入口まで辿り着き、被せておいた絹を剥いだ後に連結を解いて街へと向かう。
結局、結論を先延ばしにしたことはティルネルも理解しているのだろう。
………しかし、それについて責められないことが、何よりも辛かった。
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