第3章 黄昏のノクターン 2022/12
32話 闇に堕ちた者達
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日に満たない付き合いでも分かるくらい、何かを思いつめているようにも見える。
「どうした、休まなくていいのか?」
「はい、私は問題ありません。それよりも、お話したい事がございまして………」
「聞かせてくれるか?」
「水運ギルドから秘密裏に木箱を買い上げていた集団、彼等はフォールンエルフという、遥か昔に禁忌を冒し、聖大樹より追放された者達の末裔なのです」
禁忌を冒し、堕落した者。故に《フォールン》か。
「ほう、で、どうしてそんな悪者が空の木箱なんか買い漁るんだろうな」
「森エルフを扇動しての、四層におけるリュースラの拠点である《ヨフェル城》への襲撃、だそうです。その為に必要な船の材料として、彼等は人族の用いる木箱に目を付けたそうです。エルフは生きた樹を切り倒すことが出来ませんし、それにエルフという種族は基本的に人族とは交流を持ちませんから………」
「ヨフェル城の黒エルフは襲撃について何も知らない、ということか?」
俺の問いに、ティルネルは無言で頷く。
理由は定かではないが、人間に船材を集めさせることでエルフに課せられたルールは回避しつつ、加えて黒エルフの情報収集が可能な領域の外で行動することによって、秘密裏に計画を進行させる手練手管。更に黒エルフと敵対関係にある森エルフを利用する権謀術数。厭らしい集団だと評さざるを得ないだろう。
しかし、ティルネルの同胞が狙われているとあっては聞き逃すのも難しくなってくる。どうにかして力になってやりたいところだが、その為には障害が存在する。
先ず、現状においてヨフェル城へ入る手段がないということだ。黒エルフの拠点として存在する彼の城は、第三層におけるキャンペーン・クエストのシナリオを攻略しておくことで入手できる身分証明が必要となるらしい。エルフの為に尽力したという証が無ければ、衛兵に門前払いを受けて踵を返すことを余儀なくされることだろう。ティルネルを伴って向かったとて、戦死者扱いか、さもなくば敵前逃亡者となっているかも知れない状態の彼女を矢面に立たせるのは、どうしても避けたいところだ。
そして、キャンペーン・クエストのストーリーが絡んでくる話であれば、敵対するモンスターはフォールンエルフだけではなく、森エルフまで相手どらなければならない場面も予想しておかねばならない。しかも、話を聞く限りは共同戦線を敷くものと見て間違いはないだろう。つまり、単純に事態を纏めるならば《ソードスキルを使用するモンスターが大量に出現する》という危険性さえ大いに考えられるのである。
システム的にも、戦力的にも、対処が困難な問題だ。このまま手をこまねいているのもティルネルからすれば不本意であろうが、その為に行動した結果として、ここにいる仲間と友人を危険に
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