Chapter T:to the beginning
第02話:進撃
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んでいる。故に、皆がこの階層の意味を知っている。
突如としてクリスタル状の壁一面に罅が入り、それが崩れて巨大なモンスターが出現する。
「迷宮の孤王、ゴライアス。階層主だ。」
獰猛な笑みを浮かべる『黄金の獣』とその爪牙の前に、数多くの冒険者を苦しめた『孤高の王』が立ちはだかった。
「さて、これの相手を誰がするかという事だが...」
ゴライアス。推定レベルは5。言わずと知れたダンジョンでもトップクラスのモンスターであり、討伐には少なくとも一級冒険者数名を含んだ巨大パーティーを要するまさしくダンジョンの申し子だ。だが、それを前に悠々と考え事をする者もまた、冒険者最強と名高いオッタルを歯牙にもかけなかった『黄金の獣』だ。その表情には何の焦りも、恐怖も感じられない。
「無論、私がやれば直ぐにでも片が付くが、諸君たちはどうかね?」
後ろの五人へ問いかけると、ルサルカとリザは面倒くさそうに顔を顰めるが、ベイ、シュライバー、エレオノーレの三人は如何にもここは自分が、という表情をしていた。
無論、ラインハルトからしてみれば誰でも構わないし、ルサルカとリザに叱咤することもない。ルサルカはその汎用性でサポートに回っているし、リザもこれから役に立つ。適性の問題なのだ。
「ベイ」
「はっ」
「やれるな?」
「…ははっ、俺を誰だと思ってんすか。あんたの爪牙を甘く見ちゃいけねえ」
かけた言葉はたった二言。ただ、それでベイには十分だった。シュライバーより自分が指名されたという事もあるが、何よりラインハルトから期待されているという事実がベイを昂らせた。
「ああ、最ッ高に良い気分だ!」
ラインハルトを含めた五名は近くの岩場に腰を下ろし、悠々と高みの見物を決め込んでいる。ゴライアスの前に立つのはベイただ一人。明らかに嘗めている。そう感じ取ったのか、ゴライアスが一際大きく吠え、ベイへ向かって来る。
「聖槍十三騎士団黒円卓第4位、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイ」
敵がいる。名乗りを上げた。戦場は既に用意されている。忠誠を誓う『黄金の獣』が自分の戦いを鑑賞している。何と素晴らしい環境か。シュライバーと戦ったベルリンの地とも違う。だが、それほどに戦意が昂っている。
「行くぜ劣等ォ!ちったぁ楽しませろやァ!!!」
ベイの初手は拳だった。圧倒的巨体を誇るゴライアスに引くどころか単身で向かって行く。そして、ゴライアスとベイの拳がぶつかり――
「はっ、ちょっとは楽しめそうじゃねーか!」
結果は互角。圧倒的な轟音と衝撃波を放ち互いにのけぞる。だが、ゴライアスはその巨体故に動作が遅いが、ベイは小回りが効く。結果として瞬時に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ