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本気で挑むダンジョン攻略記
Chapter T:to the beginning
第02話:進撃
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 オラリオの朝は早い。その日ダンジョンに潜る冒険者達は基本的に朝早くからダンジョンに潜り、早くても夕方、遅ければ数日に渡ってダンジョンで冒険を行う。その為、それらの冒険者に合わせて朝早くから店が開く。冒険者を中心とした経済が成り立っているオラリオならではの風景だろう。

 そんな朝早くから活発な街の一角を、頭をすっぽりと覆うフードを被った一人の男が歩いてた。そう、言わずと知れた獣殿ことラインハルトである。
 昨日フレイヤの元を後にしたラインハルトだったが、街を歩いて人々とすれ違う度に皆がラインハルトに視線を向けていた。普通に考えてみれば、圧倒的なカリスマ性を持った桁違いの存在感を放つイケメンが歩いているのだ。誰だって注目するだろう。だが、ラインハルトからしてみれば鬱陶しい事この上ない。本来の獣殿であれば気にもしないだろうが、このラインハルトは転生前は一応一般人。そこまで気にはかからないものの、中には悪意の混じった視線もあり安全策としてフードで顔を隠しているのだ。無論、黒円卓のメンバーは影に潜らせている。

「(ふむ。一つを除いて視線を感じない。シンプルながら効果的であったな)」

 昨日ルサルカに買わせに行って良かったと思いながら、唯一感じる視線のもとへ目を向ける。それはバベルの最上階。昨日ラインハルトがフレイヤと対談した場所だった。獣殿の視力を以てすれば、例え1km以上離れていようとハッキリと見えるのだ。
 案の定、ラインハルトには目が合った相手が微笑みながら此方に手を振っているのが見えていた。

「流石に昨日の今日で手出しはしてこない、か。だが、暫くこの視線は続きそうではあるな。」

 ダンジョンに潜ってもおそらく水晶で監視されるのだろう。出来るだけ『創造』や『流出』は使わず、使うならば黒円卓のメンバーのみに使わせなければなるまい。


「あの、冒険者の方ですか?」
「む、君は誰だね?」

 考え事をしながらダンジョンを目指していたらひとりの給仕服を着た少女に話しかけられた。どうやらすぐ側の店の従業員らしい。

「あ、私はシル・フローヴァと言います。そこのお店でウェイトレスをしています」
「ふむ、名乗られたからには答えねばなるまいな。ラインハルト・ハイドリヒだ。まあ、冒険者のようなものではある」
「ふふ、何か面白いお方ですね。冒険者にしては珍しいです。」

 どうやらラインハルトの口調がツボに入った様で、クスクスと笑う彼女だったが、ラインハルトからしてみれば何が面白いのか良く分からない。

「あ、すいません。冒険者の方たちって何というかがさつというか...あ、大雑把な人が多いんですよ!」
「(それは殆ど似たようなものだろうに)」

 つまり、そこらの冒険者では聞かないような気品溢れる獣殿の口
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