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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
そして誰かがいなくなる
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て来てくれる?」
「攻撃の狂怒。……愚問だバカ野郎」
「防御の狂哀。御身の御心のままに」
「精神の狂楽。あははっ、やっと楽しくなってきた」
思い思いの返答にフッ、と苦笑なのか呼気なのか、自分でもよくわからない形に口許を歪ませながら少年は笑う。
「さぁ、《災禍》を終わらせに行こう」
ずぅっ、と。
初代の胸に、白い空間を侵食するように真っ黒な球体が出現する。
それは周囲の白から強引に黒を捻出するように強烈な吸引力を発揮するとともに、強風を発生させた。
眼も開けていられないほどの風の中、初代は確かに見た。
黒い風に乗るように、三人の男のシルエットが音もなく溶け崩れた光景を。
それを見、一瞬口を開きかけた少年は、しかし何を言うこともなく唇を閉じる。
何を言ってももう遅い。
匙を投げられた物語の終焉の――――否、終わりも終わった、蛇足というにもおこがましい、そんな結末の賽は投げられた。
すでに、どうしようもなく終わっていた物語を、
壊
(
・
)
す
(
・
)
ために。
醜く舞台に残ろうとするヒロインを、引きずり降ろすために。
もう、戻れはしない。
結局の話。
《災禍》は《災禍》でしか止められない。
これはそれだけの話で、それ以上でも、それ以下でもなかったのだから。
―――あぁ。
少年は、笑い続ける少女を見やった。
謝る資格などないことは充分分かっている。だけれど、でも。
「…………………………ごめん、フラン」
待たせて、待たせ過ぎて、ごめん。
きみを……救ってあげられなくて、ごめん。
そう言った後、少年は深々と頭を下げた。
少女はそれでも変わらない。
相も変わらず、壊れた狂笑と哄笑と嘲笑を響かせる。その笑いとも言えない笑いは、欠片も変わりはしなかった。
人形を相手にしているような滑稽さと虚しさに、少年は思わず泣きたくなる。
だが涙が零れるより早く、初代の身体に変化が生まれていた。
黒い、黒い、光沢の塊。
ソレが放つ空気だけでじんわりと空間がねじ曲がっていく。
いるだけで異物感を醸し出すような、そんな金属が少年の小柄な身体を瞬く間に覆っていく。それはどこか、巨大な獣に丸のみにされる小鳥を想起させた。
輪郭が凶暴なそれに変わっていくのを、しかし少年は気にすら留めず、ただ眼を閉じる。
集中するのは、聴覚。
ビキリ、バキリ、と。
明らかな怪音が真っ白な空間のそこかしこから連発して響き渡っていた。
小さなものもあれば大きな音もある。しかし、一葉にそれらに共通しているのは、そのどれをとっても本能に危険を出させるには充分であるということだ。
「……………………」
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