6部分:第六章
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けれど。有り得るよな」
こうした意見も出された。
「置久保は話は下手だけれど嘘は言わないしな」
「ああ、それはそうだな」
「こいつはそんな奴じゃないからな」
人間としてはかなり信頼されている裕二郎であった。
「本当なのかね、やっぱり」
「だよなあ」
「俺こうも思うんだけれど」
ここでまた言う裕二郎だった。
「普段は優しくても怒ると怖いって人なのかもね、萩原さんは」
「そんなものかね」
「まあそういう人もいるけれどな」
これで納得しかけた一同だった。ここでその彼等に華が声をかけてきた。
「ねえ皆」
「おっ!?」
「俺達かよ」
「実家からお饅頭差し入れもらったのよ」
こう彼等に言ってきたのだった。
「お饅頭。よかったらね」
「ああ」
「お饅頭?」
「皆で食べましょう」
優しい声で彼等を誘ってきた。
「皆で。どう?」
「えっ、いいのかよ」
「御前が貰ったやつじゃないか」
「皆で食べないと美味しくないじゃない」
だが華は優しい笑顔でこう彼等に言うのだった。
「だから。一緒にね」
「そこまで言うんならな」
「それじゃあ」
彼等も華の言葉を受けることにした。そして全員で彼女のところに行く。彼女はその彼等にまた声をかけてきたのであった。
「じゃあ私お花の水換えてくるから。先に食べておいて」
「あっ、ああ」
「お花もか」
言うまでもなくクラスの花のことである。花瓶に入れているのである。
「それじゃあね」
こうして彼女は実際に花瓶を持ってクラスを出た。男達はそんな彼女を見送ってからここでも言うのだった。
「やっぱり。置久保の言う通りなのかね」
「かもな。それに俺達が今まで気付いていなかっただけなのかもな」
「そうかも知れないね」
その裕二郎は皆の言葉に頷くのだった。
「今そのことに気付いた。そういうことかな」
「そうか。今気付いたってわけか」
「気付いていなかったことにな」
こう思いはじめた彼等だった。そのうえで彼女が勧めたその饅頭を食べてみる。その饅頭は実に美味かった。塩に包まれその味もするがそれと同時に餡子の甘さが中に詰まっている、そんな饅頭であった。
どっちが本当!? 完
2009・8・22
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