アインクラッド編
平穏な日々
紅色との日 03
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キリトって馬鹿だよね」
これ見よがしにため息を吐くとキリトは気まずそうに顔を伏せた。
その時はノリで受けたものの、ことここに至って重大さがわかったらしい。
ヒースクリフは間違いなくアインクラッド最強の男だ。
神聖剣の硬さは異常だし、攻撃だって半端ではない。 加えてシステムに頼ったスキルとは別に、ヒースクリフ個人のプレイヤースキルだってずば抜けている。 対人戦に特化した僕でさえ、今の状態ではヒースクリフに勝てる算段は立てられないのが本音だ。 まあ、勝算がないではないけど。
キリトの持つ二刀流は確かにとんでもないスキルだし、プレイヤースキルもヒースクリフに劣ってはいないだろう。 問題はそこではなく、むしろ相手がヒースクリフだと言うことが問題なのだ。
キリトに限った話ではなく、現時点でヒースクリフを相手に勝てるプレイヤーは1人としていない。。 何しろヒースクリフは、絶対にHPバーを半分以下に落としたりはしないのだから。
更に言えば、このデュエルはキリトに損しかもたらさないことを、果たして我が兄は気づいているのだろうか?
ヒースクリフが勝てば血盟騎士団に入る。 キリトが勝てば血盟騎士団に入らない。
賭け金が余りにも不公平だろう。 KoBに入りたくないのなら断固拒否すればいいだけで、そうすればいかにヒースクリフと言えど無理強いはできない。 むしろ、あの男の性格上、きちんと断ればあっさり退くはずだ。 それこそ僕に対する勧誘のように。
挑発に乗ったキリトは馬鹿の一言で片付けるとして、気になるのはヒースクリフの思惑だ。
アスナさんが言ったように、ヒースクリフがキリトに興味を持っていることは知っていたけど、どうして彼は強者を手元に置きたがるのだろう?
キリト然り、アスナさん然り、そして僕然り。 攻略組トップクラスのプレイヤーを熱心に勧誘しているのは、どうにも血盟騎士団の戦力増強以外の理由があるように思えてならない。 同じくトップクラスのプレイヤーであるアマリをただの一度だって勧誘したことがないのがいい証拠だ。
「……って、フォラスさん、聞いているのですか?」
突然、視界にアスナさんの顔が飛び込んできた。 結構な至近距離で顔を覗き込まれた僕は、暴れまわる心臓をどうにか抑えて、露骨にならないように身体を引く。
どうやら考え事に没頭し過ぎていたらしい。 アマリにもよく言われることだけど、それはどうしても治らない悪癖だ。
「ごめん。 全然聞いてなかった。 で、なんて?」
「デュエルを取りやめてもらうよう、団長を説得できないかと、そう聞きました」
「あー、多分だけど無理だと思うよ。 前言を翻すような男じゃないからね。 それはアスナさんも知ってるでしょ?」
「ええ、まあ……」
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