アインクラッド編
平穏な日々
紅色との日 03
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感想を抱いた。
一部の情報を明かした僕は、ここできちんと話しをして、ある程度アスナさんを満足させる義務があるだろう。
まあ、刺激がないので進展らしい進展をしない2人の関係にそろそろ爆弾を放ってみようと画策していることは否定できないけど。
「優しい人だよ。 なんて言うかな……誤解を恐れないで言うなら、弱い人、かな。 それと、少しだけキリトに似てる」
「キリト君に?」
「口下手で周囲に壁を作るくせに寂しがり屋。 目立つのが苦手で引っ込み思案。 キリトはさ、あれでいて繊細だから」
「それは知っています」
頷いたアスナさんの表情は冴えない。
アスナさんの性格を考慮すれば、略奪愛を考えたりはしないだろう。 真面目で現実的、それでいてロマンチストなアスナさんは、きっとこのまま諦める。
キリトとあの人との恋路を邪魔したいわけではないし、別れて欲しいなんて露ほども思っていない。 それと同時にアスナさんに諦めて欲しくないと思うのは矛盾なのだと、それは誰に言われるまでもなくわかっていることだ。
けれど、どうしても願ってしまう。
双方の幸福を。 キリトの幸福を。
「僕はね、アスナさん。 アスナさんの恋を結構本気で応援してるよ。 でも、やっぱりキリトの恋も応援してるし、あの人の恋も応援してる。 だからさ、後悔はしないで。 きちんとぶつかって、その結果がどうなるかなんて僕にはわからないけど、後悔だけは絶対にして欲しくない」
「あ、あなたに言われるまでもありません!」
「そっか。 それじゃあ、今日はこの辺で、かな? アスナさんもあんまり暇じゃないでしょ?」
「……そうですね」
それでは今日はありがとうございました。 短く礼を言って立ち上がったアスナさんが突然動きを止め、それからウインドウを開く。 どうやら誰かからメッセージが届いたらしく、しかもそれが余程の内容なのか、元々大きな瞳を丸くして視線を上下に行き来させる。
誰からだろう? そんな疑問が頭を掠めたところで僕にもメッセージが届いた。
「あー……」
開いてみれば、差出人は噂の張本人であるキリト。 そして、その内容を確認した僕はアスナさんが驚いた理由がよくわかった。
本文はたったの1行。 それどころか、たったの19文字。
『ヒースクリフとデュエルすることになった』
それを読んで僕は内心でため息を吐く。
僕の兄は、どうやらトラブルに愛されているらしい。 やれやれ。
アルゲードにあるエギルさんのお店。 その2階にある生活スペースに僕とアスナさんは駆け足気味に飛び込んだ。
1階にいたエギルさんの許可は取ったとは言え、それでも決し
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