暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十話 ハイネセン占領
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



帝国暦 490年 4月 19日    帝国軍総旗艦ロキ  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



『ではハイネセン攻略は我々の艦隊で行うのですな』
「ええ。惑星シリーユナガルで準備をした後ハイネセンへ向かってもらいます。こちらは捕虜を引き連れ後から、そうですね、七十二時間後にハイネセンに向かいます。彼らにはハイネセン攻略の場を見せたくありません」
必要以上に敗者に屈辱を与える事は無い。スクリーンに映っているメルカッツが“そうですな”と頷いた。

「アルテミスの首飾りを破壊した後は同盟政府に対して降伏を勧告してください」
『承知しました。……向こうが自分達の生命の安全、財産の保障を求めてくるかもしれませんがその場合は如何しますか?』
「敗戦の罪によって誰かを処罰するような事はしないと伝えて構いません、身分、地位に拘わらずです。彼らも安心するでしょう」
『場合によってはハイネセンに降下する事にもなりますが……』
ちょっと気遣わしげな表情だ。一番最初にハイネセンに乗り込むのは俺じゃなきゃ拙いとでも思っているのかな。俺はそんな事は気にしないんだが……。

「問題ありません。必要に応じて処理してください。大事なのはハイネセンを混乱させない事です」
『はっ』
「当然ですが同盟市民への乱暴、狼藉、略奪は許しません。犯した者は軍規に則って厳正に処罰します。その事は全員に周知徹底させてください」
『承知しました』
メルカッツが大きく頷いた。生粋の武人だからな。略奪、狼藉等は大嫌いだろう。いかん、忘れていた。

「それと占領すればハイネセンは経済的にも混乱する筈です。売り惜しみや価格の高騰には気を付けてください。市民の日常生活を脅かす様な事は許さないように。日常生活が保障されれば市民は落ち着く筈です」
「分かりました」

「私からは以上です、副司令長官から何か有りますか?」
『いえ、特にありません』
「では、お願いします」
『はっ』
互いに礼を交わして通信を終了した。

ハイネセンを攻略すればメルカッツの軍人としての評価もワンランクアップは間違いない。イゼルローン要塞攻略、同盟軍の降伏は俺とイゼルローン方面軍の功績だ。これは大きい。対してメルカッツとフェザーン方面軍の功績はフェザーン攻略だけだ。このままだとメルカッツは俺の引き立て役になってしまう。それは良くない。アルテミスの首飾りの攻略、自由惑星同盟の降伏、メルカッツとフェザーン方面軍にとっては十分な功績になるだろう。

同盟政府は降伏を前提に動いている。如何に犠牲を少なくして戦争を終結させるかを考えている様だ。有難い話だ、民主共和政を守るために市民を犠牲にする事も厭わないなんて事をされるよりはずっと良い。メルカッツも大きなトラブルも無くハイネセンを攻略出
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ