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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十話 ハイネセン占領
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びでしょう」
「恐れ入ります。アルテミスの首飾りの攻略法は分かっておりましたので楽に終わりました」
僅かにメルカッツが身を屈める様なそぶりを見せた。年長者にそういう風にされるのはちょっと気拙い。

「ハイネセンも落ち着いているようです。有難うございます」
「小官一人の働きでは有りません。皆が良くやってくれました」
ケスラー、クレメンツ達が嬉しそうにしている。メルカッツが褒められるという事は間接的に自分達が褒められる事だ。そしてメルカッツは自分達の働きを十分に評価している。満足だろう。

「勝手ですが閣下の執務室、居住室をこのホテルに用意させていただきました」
「有難うございます、御手数をおかけしました」
「それほどでもありません。では執務室に御案内致します。そちらでハイネセンの状況を説明したいと思いますが」
「分かりました」
状況を確認してからトリューニヒトと会談だ。それから講和交渉。さっさと終わらせて帰国しよう。将兵達もそれを望んでいる。



宇宙暦 799年 4月 26日    ハイネセン ある少年の日記



敗けちゃった。こんなにあっさり敗けちゃうなんて信じられない。一週間前に宇宙艦隊が降伏した。同盟軍七個艦隊が降伏した事でハイネセンを守るのはアルテミスの首飾りだけになってしまった。自由惑星同盟が勝つ事は無い、でも首飾りで相手に損害を与えて講和交渉を有利に進めるって政府は言っていたのに……。

同盟政府は首飾りが破壊されると降伏した。政府からは出来るだけ外に出るなと言われている。特に夜間は絶対出るなって通達が有った。帝国軍の兵士とトラブルにならないようにという事らしい。だから僕も学校には行っていない。でも本当は同盟市民が集まって騒ぐのを防ぐためだとTVのアナウンサーが言っていた。そうなのかもしれない。

首飾りなんて何の役にも立たなかったな。一瞬で壊されちゃったよ。しかも壊したのはヴァレンシュタイン元帥じゃないんだ、副司令長官のメルカッツ元帥。ヴァレンシュタイン元帥にしてみれば自分が出るまでも無いって事なんだろうな。首飾りに頼っていた僕達を馬鹿な奴って嘲笑っていたかもしれない。溜息しか出ない。

これから講和交渉が行われるけどそれはヴァレンシュタイン元帥が来てかららしい。同盟はどうなるんだろう? やっぱり帝国の領土になっちゃうのかな。そうなったら僕達、奴隷になっちゃうのかな? 母さんも酷く不安がっている。帝国では改革をして平民の地位が向上しているから酷い事にはならないんじゃないかって言われているけど……。



宇宙暦 799年 4月 29日    ハイネセン ある少年の日記



今日、ヴァレンシュタイン元帥がハイネセンに到着した。漆黒の総旗艦ロキが空から降下してハイネセンの宇宙
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