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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十話 ハイネセン占領
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」
「ジーク・マイン・オーバーベフェールスハーバー!」
足が止まった。総旗艦ロキをハイネセンの宇宙港に降下させタラップで地上に降りようとすると嵐のような歓声が俺を包み込んだ。宇宙港は俺の警備のためだろうが大勢の帝国軍人が周囲を固めている。そして出迎えに来た軍人達、それらが一緒になって叫んでいた。
そんなに厳重にしなくても良いんだけど。俺はラインハルトじゃない。俺を殺しても同盟には何の益ももたらさない。逆に報復が酷くなるだけだ。同盟人だって馬鹿じゃない、少し考えれば分かる筈だ。
「閣下、手を振って頂けますか?」
「手?」
リューネブルクが笑みを浮かべている。
「はい、皆喜ぶと思います」
リューネブルクの言う通りに右手を挙げて応えると歓声はさらに大きくなった、地鳴りのようだ。……気持ちは分かる、嬉しいんだろうな。何と言っても敵の本拠地を占領した、大勝利だ。一生自慢出来るだろうし人生最高の思い出だろう。でもね、俺はあんまり嬉しくない。ちょっと恥ずかしいんだ、頬が熱い。やっぱり俺って小市民なんだな、さっさと降りよう。
フリードリヒ四世が皇帝で本当に良かった。他の奴、特に猜疑心の強い奴が皇帝だったら、そしてこの現場を見たらと思うとぞっとする。簒奪の意思あり、なんて罪状をでっち上げられてあっという間に反逆罪で死刑だろうな。その点あの爺さんなら笑い出して皇帝位を譲るとか言い出しかねん所が有る。臣下の身としては有難い事だ。
タラップを降りるとロイエンタールとミッターマイヤーが近付いて来た。この二人が出迎えだ。互いに礼を交わすと二人が自由惑星同盟の降伏を祝ってくれた。嬉しいよな、こういうの。でもこの二人に祝って貰うのは原作を知ってる俺としてはちょっとこそばゆいな。照れるよ。
「有難う、ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督」
「メルカッツ副司令長官の元へ御連れ致します」
「お願いします」
地上車に乗り込む。同乗者はヴァレリーとリューネブルクだ。如何見ても緊張しているから護衛のつもりなのだろう。ロイエンタール、ミッターマイヤーの先導で宇宙港を出てハイネセン市内に向かった。行先はホテル・カプリコーン、メルカッツはそこを帝国軍の拠点にしている様だ。
宇宙港からは三十分程でホテルに着いた。結構早く着いた。襲撃を避けるためだと思うがかなり飛ばした所為だろう。途中、地上車から見える市内には混乱は無かった。取り敢えず落ち着いていると見て良さそうだ。ホテルに着くとロビーでメルカッツを始めとして宇宙艦隊の艦隊司令官達が姿勢を正して待っていた。ロビーに入ると一斉に敬礼してきたので礼を返す。その後一人ずつ労いの言葉をかけながらメルカッツの所まで進んだ。
「メルカッツ副司令長官、自由惑星同盟を降伏させた事、良くやってくれました。陛下も御喜
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