月下に咲く薔薇 25.
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手には適任の筈だ。火力が一番上なのは知っているんだろう? それでも∀にしたい理由でもあるのか?』
愛機の火力を強調しながら、万丈が核心に迫る質問を織り交ぜた。
不本意ながらインペリウム機の救助にあたらなければならないというのに、まさかの戦力外通告。万丈としては、愛機を誇るからこそ隠し事の一切をごっそりと引き出してやりたくもなる。
『いえ。私の判断に、誤りはありません』断言する口調が、ZEUTHとの駆け引きを激しく拒絶した。『ダイターン3は、離れていなさい。…味方と私の、足を引っ張りたくないのなら』
『言ってくれるじゃねぇか!』ロックオンもアイムの秘め事に神経を逆撫でされ、俄に声を荒げる。『この異空間で戦闘が可能なのは5機だけだ。ましてや、ダイターン3はスーパーロボット。こっちもアリエティスが当てにできないんだ。サン・アタックの大火力は外せないだろ』
ふと、虚言家が息をついた。憐憫の吐息に苛立ちの色が仄かに混じる。
『昨夜と、同じ過ちを繰り返すだけですよ』
『過ち? 俺達が昨夜、何を間違えた?』問い返すロックオンに、虚言家が怒声で応じる。『ソーラーアクエリオンの、壱発逆転拳が食われた事を、もう忘れたのですか?』
『ソーラー…』言いかけた万丈の口から、アクエリオンの名が続いて出る事はなかった。代わりに『まさか…』という掴みかけた言葉を漏らす。
『ええ。波瀾万丈。あなたは、もう、おわかりですね。太陽機の攻撃こそ、この植物の好物なのです』
「太陽機?」
造語と思われるその言葉が何を指すのか、クロウにも理解する事はできた。機体や武器のいずれかに太陽を指す単語が含まれていれば、太陽機という事になるらしい。
確かに、太陽の威光を掲げるダイターン3は業火を放って悪を討つ。最強技のサン・アタックは母艦級の威力を誇り、マクロス・クォーターのマクロスキャノンさえ凌ぐ。ZEXIS、ZEUTHを合わせても、サン・アタックに勝る攻撃はガンダムダブルエックスのツインサテライトキャノンをおいて他にない程だ。
ソーラーアクエリオンに至っては神話的能力まで兼ね備え、地上に降りた太陽と呼ばれる神々しさで大地に聳え立つ。拳の先に花を咲かせ味方パイロット達を鼓舞するなど、実際に体験しなければ信じられない神の御技の領域ではないか。
しかし、その括りに何の意味があるのだろう。太陽の名を持つというだけで、ダイターン3とソーラーアクエリオンが同じカテゴリーとは余りにも強引だ。
もし、その理屈で括るなら、斗牙達のソルグラヴィオン、あしゅら男爵からオリンポス神ゼウスと呼ばれているマジンガーZも、その太陽機とやらに加えられてしまう。
「だいぶ頭にきてるみてぇだな。AからZまで順番に言えるか?」クロウは取り敢えず、アイムの譫言と片付ける事にした。「ダイターン3を下げる
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