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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 25.
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などクラン救出の為には何の得にもないない決断になる。
 気持ちが割れた。もし、ここで三大国家連合軍などがしゃしゃり出て来なければ、もっとやりようがあったかもしれないのに。
「なるほど。つまり、特派は誰かの差し金なんだな」
 ずばりと切り込むアスランを、「それについてはご想像にお任せします」とセシルが柔らかくいなす。
 ミシェルはカップを持ち上げ、冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。
「ところで」と、今度はそのセシルがさも訊きたげな顔を向ける。「ミヅキさん達は、ここへ何をしにいらしたのですか?」
 持ち上げかけたカップが、ミヅキの手元で揺れた。
 セシルとて特派の人間。ミシェル達ZEXISが忘れてくれればと願っていた疑問を、ものの見事に蒸し返す。
「さっきも言ったでしょ。借りた車と昨日の買い物を引き取りに来ただけ。それが済んだら帰るつもりだったわ」
「にしては、随分と人数が纏まっていますね」スザクの視線が扇を指す。「黒の騎士団にソレスタルビーイング、コロニーの工作員達もいましたし。何かの下見か確認、の方が僕達も納得しやすいです」
「まぁ…。護衛の意味はあるわよ。さっき、アスランがシンに言ってたでしょ?」一拍置いたミヅキが、突如話を肯定で進め始めた。「実際こうして、ブリタニア・ユニオンの特派がKMF持参で出没したところに出会してるし。一旦外出したら、何が起こるのかなんてわからない。それが多元世界の現実よ。…昨日は昨日で、ライノダモンの口だけがそこの吹き抜けに浮いてたし。今じゃ、屋内で次元獣に備えなきゃならない事態なの」
「え? ミヅキさん、それは…」
 制止を試みかけたアレルヤが、何を思ったのか続きの言葉を飲んでやめる。
 そう。この瞬間に、ミヅキはしらを切り通す事を諦めた。特派と出会してしまった現場の判断として、彼等の掴んでいる事実だけは認めようと決めたのだ。
 元々特派は、ZEXISに対し幾らか好意的なところが目につく。連合軍の武力介入と特派の介入を秤に掛け、後者を選んだ方がましと腹を括ったに違いない。
 全く以て素晴らしい女傑だ。
 ミヅキが、息をつきながらミシェル達を順に見回す。
「仕方がないわ。…バトルキャンプに来るっていうんだし、着いたら結局秘密にしてはいられなくなるのよ。今からいい関係は作っておかないと」ZEXISのメンバーをそう納得させた後、ミヅキが改めて特派に向き直る。「認めるわよ。ここに来た理由を隠しているのは事実。だけど、生憎ここで全部を話す訳にはゆかないの。私の独断で話す事もね。ソーラーアクエリオンの一発逆転拳だけじゃない。本当にややこしい事になってるんだから」
 カップに残った液体全てを派手に呷った後、ミヅキが「あー、言っちゃった…」と座ったまま頭上を仰ぐ。
 思い切りよく吐露した女性の声には、疑心暗鬼
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