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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 25.
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の棺桶として炎に焼かれる事になる。
 敵を退けるMS隊の映像は実現させる事が困難な上、戦死者を示す数値の大きさは国民を大きく失望させるだろう。それを確実に回避しつつ最良の結果を得る為に、連中が何を決めたか。
 目の上のこぶであった筈のZEXISを、即刻排除するのではなく難敵排除の全てを押しつける対象に変更した。つまり、生かす事を決めたのだ。
 エルガン代表の思想に賛同し集っているのだから、誰が要請せずとも自発的に動き脅威の全てと戦ってくれる。戦死者は全てZEXIS持ち。実に都合のよい盾だ。
 但し。三大国家連合軍とZEXISの関係は、単に利用する・されるという単純な構図に留まらなかった。
 多方面同時対応の為にZEXISが隊を分ければ、好機到来と自軍を投入し叩きにかかる組織は現れる。黒の騎士団やソレスタルビーイングが、ZEXISとZEUTHの両方を束ねる組織として政府を脅かす瞬間を恐れているのかもしれない。
 介入しZEXISの全てを掌握する機会は、元々彼等が非常に欲しているものだ。
「覚えてるよね。サンクキングダムの時」ロイドが自ら、一時加入した2度目の時期に触れる。「君達の言うスーパーロボット6機とブラスタが中破して、それまでにない損害の大きさが随分と問題になった」
「問題になった、って? 何処で?」
 扇が敵に問いかけると、ブリタニア貴族が口端をぐにゃりと上げる。
「それは秘密〜。しかも、昨日の君達の損害がまた問題になってる。アリエティスの攻撃しか効かないところとか。だから、僕達特派が動いたんだよ。アイムと君達ZEXISが手を組まないよう監視する為に」
「ち、ちょっと…」
 言い淀むミヅキの心中が、ミシェルにはよくわかる。
 ZEXISの焦りが外に漏れているも同然だ。妄想ではない。三大国家連合軍は、実に鋭いところを突いている。
 午前中、他でもないミシェル自身がその話を前向きに検討すべきだと主張しロックオンと対立さえしたのだから。
 ZEXISの独力で怪植物のDフォルトを突破する事が困難な現状、単機で敵に有効なアリエティスは大いに魅力的な戦力と映る。クロウへの執着を逆手に取るべきだ、との誘惑は今もミシェルの中にあった。
 当然、幾らかの代償が伴うであろう事も理解はしている。それが驚く程間近に迫っていたとは。
 ただ遠巻きにし如何なる脅威の出現にも加勢一つしようとしない三大国家だが、彼等の信用程度でも失うとなると痛くはある。もし連合軍が本格的な介入に踏み切れば、事態の理解の甘さ故、おそらくはあの異界の敵を持て余し最悪の事態へと導いてしまうだろう。
 奇しくもあの会議中、エウレカ達の機転によりZEXISが三大国家による介入を受ける可能性から脱していたのだ。そういう意味で彼女達には感謝しているが、アリエティスの利用を諦める
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