暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン40 鉄砲水と七色の宝玉
[13/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
杯の脅しを軽く受け流し、ヨハンに意味ありげな流し目を寄せるアメジスト・キャット。それにたいして軽く頷くと、ヨハンが最後の伏せカードを表にした。

「アメジスト・キャットは与えるダメージが半分になる代わりに、相手プレイヤーに直接攻撃ができる。そしてこのバトルフェイズにトラップ発動、アサルト・スピリッツ!このカードは発動後装備カードとなり、装備モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に手札の攻撃力1000以下のモンスター1体を墓地に送ることで、その攻撃力分だけエンドフェイズまで装備モンスターの攻撃力をアップさせることができる。攻撃力600のエメラルド・タートルを墓地へ!」

 エメラルド色のオーラがアメジスト・キャットの全身を包み、音もなく駆けだした雌豹がそのしなやかな動きを駆使してグレイドル・イーグルとバブル・ブリンガーによる2重の防御をいともたやすく乗り越え、またしても一瞬にして僕の懐へと飛び込んできた。

『残念だったわね、坊や』

 宝玉獣 アメジスト・キャット 攻1200→1800→清明(直接攻撃)
 清明 LP900→0





 ………あー、また負けたー。さすがにちょっとへこんでいる横で、ずっと観戦していた剣山が興奮冷めやらぬ様子でヨハンに話しかけていた。

「あの清明先輩が、ほとんど手も足も出ずに……!凄いドン、さすがにデュエルアカデミアアークティック校主席だけのことはあるザウルス!」
「おいおい、褒めても何も出ないぜ?それに……」
「それに?」

 そこで一度後ろの会話が途切れたのと視線を感じたので、ヨハンと剣山の方を振り返る。向こうもこちらのことを、真剣そのものの目つきで見つめていた。

「そのデッキについて、何か悩んでいるんだろう?そのせいで本来出せるはずの力の半分も出せていない。それぐらいのこと、デュエルすればわかるさ」
「一体、どういうことだドン?」

 剣山の反応をよそに、僕はただただ驚いていた。というのも、ヨハンの言ったことはまんま図星だからだ。つい昨日オブライエンに完敗したことが、いまだに僕の心に暗い影を落としているのが自分でもよくわかる。
 ……僕自身がグレイドルの、そしてそれ以前に使ってきたモンスターたちの力を生かし切れていないんじゃないか。その思いは今もなお、僕を悩ませ続けている。だけど、どうすればいいのかが全く分からない。もっと直接的に言えば、今の僕は行き詰っている。
 だけど、十代にもまだ相談していないそれを、まさかたった1回デュエルしただけで見抜かれるとは。敵わないなあ、本当に。

「なあ、清明。1つ約束してくれよ、またいつかお前が、本当に納得できる自分なりの答えを見つけたら、その時は再戦しようって」

 屈託なく笑い、座り込んだ僕に手を差し伸べてくる
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ