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。提督にとって特に縁がないイベントだからだ。
実家に居た時などは提督もクリスマスを楽しみにしていた。ケーキも出れば御馳走も出る。プレゼントだって貰えたのだ。
だが、成人し実家を出て一人暮らしを始めるとクリスマスもただの寒い冬の一日である。
外に出歩けば筆舌に尽くし難い苦痛に苛まれ、部屋で篭れば自身の境遇に涙が出そうになる、そんな寒いただの一日だ。
それでも、彼女達と出会ってからはまだマシであった。ゲームの中、ディスプレイの遮られた世界であるが、提督にとっては有意義な時間であった。
そして今年は、何の因果か生身で彼女達と過ごすのである。
提督としても思う事は少なくない。少なくは無いのだが……
「やっぱりクリスマス中止は無し?」
毎年恒例、サンタがどうこうされているコラや画像を脳裏に浮かべながら提督は口にした。
とんと縁がないイベントであるから、提督にとってはすごし方が分からないのだ。一人であればなんとでも時間を潰せるのだが、家族友人以外の誰かと、となると提督には全く経験が無い。
「ほら、ああいうのはリア充のイベントであって僕には縁遠い物であるからして、今からでも鎮守府中にサンタがどうこうなった画像とかを張りまくる」
もう提案ではなく断言であった。このまま放っておくと、提督は本気でやらかしただろう。
それを見る大淀と初霜の目は、呆れの色を強く宿していた。それもその筈だ。
提督はクリスマスがリアルが充実した者達のイベントであると口にしたのである。であれば、提督は参加資格を充分満たしている。
大淀と初霜は、顔を合わせて頷いた。
「行きますよ提督」
「動かないなら、また檻に入れて台車で運びますからね」
大淀と初霜が、それぞれ提督の手を引いて執務室から連れ出そうとする。
山城は提督との距離を維持したまま、未だ顔を手で覆ったまま器用に提督についていく。
提督はされるがままだ。第一旗艦に、秘書艦に、もっとも古い付き合いの任務娘が相手だ。提督にできることは、大人しくついていくだけである。
であるから。
提督は誰も居なくなった扉が開けられたままの執務室に振り返って――肩をすくめた。
どうでもいい話であるが。
いや。
どうでも良くは無い話だが。
クリスマス当日。由良達のダンスが終わり、皆が興奮したその会場で、山城、大淀、初霜の連名で山城と提督の正式な結婚が発表された。
一番驚いたのは――提督である。
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