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に映る備え付けの時計は、昼時を告げている。早霜の仕事は昼までの代理だ。どこか彼の妻――という事になっている、だが――山城に近い少女との時間が終わる事に、提督は何故か寂しさを覚えた。
だからだろうか、提督は机の上にあるそれを手に取り、早霜に声をかけた。
「……早霜さん、お代わりを貰えるかな?」
湯飲みを手にする提督は、喉などもう渇いていない。熱いお茶が恋しいほど寒いという事も無い。ただのわがままだ。
だというのに、早霜は提督の言葉にゆっくりと書類から目を離して振り返り、そっと微笑んだ。
「えぇ……私で良ければ……味わってください、司令官」
誰かが聞けばまず疑いの目を向けるような言葉だ。
しかしそれは、誰か居ればだ。
ここには提督と早霜しか居ない。二人だけの小さな世界だ。
ちなみに、神通の言葉は言い間違いでもなんでもない。
一度敵と決めたら何があっても、どうあっても斬れという神通からの暖かいメッセージで、早霜達がそれを知るのはもう少し先の事である。恐らく知りたくはなかっただろうが。
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