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、兵士としての本分を考えれば美点ともいえるだろう。
が、それは飽く迄軽巡の役割、下士官としてみれば優足りえる物で、艦娘として見ればやはり少しばかり寂しい物でもあった。
対して、由良に話しかける瑞鳳と言えば、この鎮守府にあって名物的な艦娘でもある。常はどこへでも顔を出し、手助けが必要となれば特に見返りも求めず手を貸し、戦場となれば堅実に制空権を確保して確実に艦隊の勝利に貢献する。そして食事時前となれば様々な制服に着替え、時には髪型にまで手を加えて名も立場も変え、調理場に紛れ込み玉子焼きを作っていくという摩訶不思議な奇行に走る艦娘である。
当然それは追い出される事も、迎え入れられる事もあるが、その追い出す代表が野分達陽炎姉妹であり、迎え入れる代表が那珂達川内姉妹である。
特に瑞鳳は那珂と非常に親しく、道ですれ違う度にハイタッチやハグを交わす姿がよく見られていた。
では追い出す代表に属す野分とは仲が悪いのかと言えば、そういった様子も無く、今度は那珂と一緒に踊りだした野分に、見る者を安心させるような笑顔を向けていた。
「野分ー、ファイトー」
「は、はい! 野分頑張ります!」
那珂と親しい瑞鳳はまだ良いが、どちらかと言えば自身寄りの野分は大変だろう、と胸中で同情する由良に、瑞鳳は由良の腰辺りを軽く叩いた。
何をするのだ、と目を向ける由良に、瑞鳳はにんまりと笑って口を開いた。
「野分は、あれで結構踊りなれているよ?」
「……え? そうなの?」
「そうそう、舞風に付き合って踊ってるから」
瑞鳳の言葉に、由良は心底納得して深く頷いた。
野分の妹である舞風と言えば、この鎮守府では那珂と並ぶ踊り達者だ。そんな舞風と姉妹の仲で一番仲がよいのは野分である。となれば、当然舞風の踊りにも付き合っているのだろう。
事実、由良が目にする野分の踊りは、なかなかに堂に入った物である。流石に那珂程、とは言えないが、先ほどまで一緒に踊っていた瑞鳳と比べて劣る物ではなかった。
となると、それはそれで由良には疑問が生じる。
由良はなんとも言えない顔で、隣に立つ、現在はスポーツウェアに身を包んだ軽空母の顔を盗み見た。
偶に長良姉妹七番艦、或いは改長良型とされる由良型姉妹四番艦を自称し、二通りの制服をそれぞれ着こなす瑞良という魚雷も撃てない、夜戦も出来ない、そして何故か開幕艦載機を発艦させる不思議軽巡洋艦である。
何を言っても、何に混じっても、結局彼女は軽空母でしかない。
ないのだが、特に仲が良い大鳳龍驤らと共に、水雷戦隊の訓練に混じり、確りと最後まで食らいついたり、その気になれば体術で長良や神通相手でもそれなりに良い勝負が出来るという軽空母詐欺の一人でもある。
高い身体能力を有するのであ
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