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は調理内容を既に何度も相談し合い、大淀や初霜は当日の会場の準備及び護衛内容を確かめ合い、霧島は既にサンドバッグを四つも駄目にしていた。
他にも、皆それぞれプレゼントを物色し、これはと思えば明石に相談して注文する、といった具合で全体的に浮き足立った状態である。
そして提督は、また檻かな? と沈んだ状態である。
そして、そんな中海風に吹かれる港で、那珂達が何をしているかと言えば。
「つまり、練習中ってことなのね?」
「はい、そうです」
イベントでの出し物、ダンスの練習中であった。
由良は隣に立つ野分と会話しながら、自身の視界の中で確りと動き回る二人を見ていた。
那珂にしても、瑞鳳にしても、軽快な音楽に合わせて踊る姿は楽しげに見せているが、顔だけは真顔だ。特に那珂などは、普段は練習中でも笑顔で踊るだけあって特に目立っていた。
「でも、こういうのはグラウンドでも良いんじゃ……?」
「いえ、グラウンドは現在、一水戦と二水戦がそれぞれ使っていますし、屋内の訓練所も三水戦が使用していますから」
「なるほどー……」
燃料消費量が少なく、入渠しても比較的早く修理が終わる軽巡、そして駆逐の属する艦娘達は戦艦や空母、重巡に属する艦娘達より小回りが効く為、さまざまな場面で運用される。
特に水雷戦隊となれば護衛に電撃戦に航路確保に各支援にと、まさに大忙しだ。そしてそんな様々な場面で的確に動けるようになるために、どうしても普段の訓練は疎かに出来ないのである。
それはこんな、冬の大型イベントを前にした状況でも同じだ。練習以上の事を実戦で出来るはずもないのだ。
であるから、現在由良の前で、珍しく笑顔も見せず踊る那珂も、そして由良の隣で会話しつつも注意深く那珂と瑞鳳を見つめる野分も、訓練後のプライベートな時間である。由良を含めた四人の中で、非番であるのは由良だけだ。そんな由良にしても、非番であっても武装の調整に時間を割いているあたりが、いかにもこの鎮守府の艦娘らしい物でもあった。
「――あれ、那珂さん?」
突如動きを止め、腕を組んで首を傾げる那珂に野分が声をかけながら近寄っていき、代わりに、先ほどまで那珂と同じ様に踊っていた瑞鳳が由良に歩み寄ってきた。
ちなみに瑞鳳は完全に付き合いだ。交友のある那珂が練習で踊ると聞いて、顔を出しただけである。
「どう、私たちの動き?」
「凄いなぁ、って。私はこういうの苦手だから、尚更、ね?」
「そう? 踊れば意外と楽しいよ?」
朗らかに笑う瑞鳳に、由良は苦笑で首を横に振った。
由良という艦娘は万事控えめだ。戦果にしても日常にしても、前に出て行動するより、同僚達と歩調を揃えて歩きたがるところがある。
それは勿論悪い事ではない。いや
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