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っと上……あー……そこそこ。凝ってんだよねー。ん、うまいじゃん」
二人は目を合わせて微笑んだ。
凝っているも何も、望月の肩は少女特有の硬さこそあったが柔いものであったし、望月にしても自身の肩が張っているとは思ったことも無い。これは飽く迄二人の遊びだ。当意即妙な望月の対応に提督は笑みを浮かべ、望月も自身の司令官の笑みに無邪気に笑ったのだ。
どれだけ斜に構えても、無関心を装っても、強気に挑んでも、提督の笑顔一つで艦娘もまた笑顔で応じてしまう。
それは自身が主と選んだ人間の、そのなんの衒いもない喜びに深く安堵するからだ。この人で良かった、この人の為の自身で良かった、と。
そこには忠義があり、友情があり、様々な形の愛がある。望月が提督の笑みに応じた際に浮かべた相には、親愛が色濃く宿っていた。
提督は望月の肩から手を離し、ソファーに置いた携帯ゲーム機を手にとってまたゲームを始める。ソファーで二人、背中合わせでだ。提督の背に望月がもたれかかっている様にしか見えないが、それは二人の身長差を考えれば仕方無い事であった。
二人は先ほどの会話で満足したのか、今度はまったく口を開かずゲーム画面を見つめつつ操作を行っていた。
暫しの時間の後、二人は同時に息を吐きまったく同じタイミングで振り返った。
望月は提督の目を見てにやりと笑い、提督もまた同じ様に笑う。そして互いの掌を叩いて声を上げた。
「うーし、ブランチマイニング用の地下拠点完成だー」
「よしよし、これでダイヤモンド掘りまくりますかねぇ」
「で、帰り道でマグマに……」
「やめろ……やめろ」
手に在るゲーム内で一つの拠点を作り上げた二人は、軽口を交し合いながらゲーム機をテーブルに置いた。望月がテーブルにあるポテトチップスを一枚摘んで口に運び、提督はコップを手にする。そして二人が目を向けたのは、壁にある時計だ。
時刻は夕飯三十分前。なかなかに良いタイミングで終わった、と二人は互いに頷きあい、直ぐ次の行動に移った。
ゲームで遊んだ、それも終わった、となれば後は片づけだ。
「司令官、余ったポテトはいつものパウチでいいのー?」
「ういさ、それお願い。僕はジュース片付けてコップ洗うから」
「へーい……あぁめんどくせー」
口ではだるそうに言いながらも、望月の動きはきびきびとしていた。途中まで口にしたポテトチップスを、執務室にあるパウチに移してしっかりと封を閉じて菓子入れに戻す。
その間に、提督は宣言したとおりジュースを冷蔵庫に直してコップを洗っていた。
あと少しすれば提督の夕食係が執務室にやって来るのだ。望月としてはそれを邪魔したくもなかったので、ソファーをはたき、テーブルを拭い、コップを小さな食器棚に戻す提督に声をかけて退室
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