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かな艦娘の一人であった。
「三日月さんの場合は、なんと言うか……」
望月の姉、三日月を思い浮かべながら提督は一旦ゲーム画面から目を離し天井を仰ぎ見た。つられて望月が天井を仰ぎ見ていることは、当然提督には分からない。
提督の知る三日月という艦娘は、朝潮と同じくらい確りとした、この鎮守府では数少ない常識人だ。
そんな彼女のスキンシップと言えば、ある意味で実に彼女らしくあるもので、それがまた提督にはなんとも言えないのだ。
「……なに? 三日月に何か落ち度でも?」
「せめて姉妹のセリフにして欲しい」
陽炎型二番艦の真似をする望月に、提督は肩を落として再びゲーム画面に目を戻した。それでも、指はまったく動かない。提督は過日の事を思い出しながら、望月にゆっくりと返した。
「いや、三日月さん、頭を撫でた後絶対肩を叩くんだよねぇ」
「……司令官の?」
「そうそう」
苦笑を零す提督に、望月は眉をしかめて頭をかいた。望月の傍に居る提督は、まだ歳若い男である。まだまだ体にガタなどなく、その肉体はそれなりに健康に保たれていた。
となると、当然一日の負荷などは眠れば消え去り、身体の各部にはしる違和感などもまったく無い状態である。もう少し歳を取ればまた違ってくるだろうが、提督の若さでは肩に凝りなどまったく在りはしない。
それでも、三日月は肩を叩いてる訳である。提督の役に立ちたいからこその行為だろうが、完全に空回りだ。
望月は天井から目を離し、背後の提督へ目を向けた。
こちらから止めるようにと伝えようか、と聞く為だ。が、口を開こうとして望月はすぐにそれを止めた。
望月の双眸に映る提督の相は苦笑に染まっているが、明らかに楽しさが勝っている。
それは望月の記憶の中にある、妹達や仲間達に誕生日を祝ってもらい、プレゼントを貰った時に如月が見せた相に似ていた。
そして貰ったボクシンググローブをすぐさま嵌めてシャドーボクシングをやっていた訳だが、望月のログにはその辺がとんとなかった。実に都合のいいログであった。
「それじゃあ、今度三日月さんに会うまでに、ちょっと肩を凝らせとかないとねぇ」
「変な司令官だねー……知ってはいるけどさぁー」
ふん、と生意気そうな素振りで鼻を鳴らした望月に、提督は暫し顎に手を当てて考え込んだ後、素早く振り返って望月の肩に手を置いた。
置かれた方の望月はと言えば、僅かに肩を跳ねさせた程度で、特に何もしなかった。彼女達の提督は、少々奇矯な人物では在るが殊異性関係には常識的な――いや、堅物ともいえる人物であった。故に提督が自身に何かするなどと、望月は考えても居ないのだろう。
が、今日この時だけは違った。
「はいはーい、マッサージしますよー」
「ん……も
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