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戦果は、流石に龍驤や鳳翔には及ばないが、それでも二人に追従するだけの物であり、旗艦を任せた場合でも不味い指揮は執らない。
龍驤が猛将型、鳳翔が知将型の戦い方で空から海上を制圧していくのに対して、瑞鳳という軽空母は地味な、それでいて失敗しない戦術をとる事が多い為いまいち目立たないところもあるが、提督からは十分に信頼された艦娘であった。
戦場を離れても、その地味なところは変わらない。例えば、事務方に顔を出して先ほどの様に保有物資の状況を確認したり、大淀の書類を手伝ったり、他の艦娘達の報告書を手伝ったり、と地味である。
が、地味であるがそれをしっかりとこなして、誰にも恩を売らないのが瑞鳳という艦娘だ。
今回のこの地味な仕事も、偶然大淀のところに顔を出して、千歳一人では辛かろう、という気持ちだけで半分を受け持ったのである。
軽空母としての古参の先輩達に似たのか。それとも軽空母はそういった気質の艦娘が多いのか。小さい体であっても前線を支える龍驤鳳翔同様、なかなかに得難い艦娘なのだ、瑞鳳という軽空母は。
「うーん、おいしー」
「本当、なかなか美味しいわね。コンビニ弁当でも馬鹿に出来ないわよねぇ」
「よねー」
二人は倉庫から出たすぐそこにある広場で、簡単な間食の最中だ。
ベンチに座った二人の膝の上にあるのは、明石の酒保でも扱っているコンビニ弁当である。間宮食堂があるのに、何故そんな物が、と思われるかもしれないが、レンジで温めるだけ、時間が無い時、などといった利点と、たまに無性にコンビニ弁当が食べたくなる、といった要望の為置かれているのだ。
流石に軍部の組織であるから、コンビニその物を置けない為に、ならば酒保で、と扱っているのである。
ちなみに、廃棄にならない様に廃棄2時間前に100円引き、1時間前で半額だ。それでも廃棄になった場合、明石や大淀、初霜等の事務方のお昼になる。
彼女達にとって食べ物を捨てるなどとは、絶対に出来ない事だからだ。
「でも、ごめんなさい瑞鳳。すっかり手伝わせてしまって……」
「うん? いいのいいの。私も今日は丸々一日空いてるし、やる事もないんだから」
屈託無く笑って、間食用の小さなコンビニ弁当から揚げちくわを箸で摘んで口に運ぶ瑞鳳に、千歳は苦笑を浮かべた。
軽空母千歳は、瑞鳳の先輩にあたる。瑞鳳という艦娘はその建造に難が多く、易々とは提督の前に来てくれないのだ。おまけに、海域での邂逅確率も低く、大抵の鎮守府では瑞鳳の活躍は遅くなる。
その辺りは、この少々おかしな鎮守府も他と変わらない。
誰と組んでも仕事をミスしない事から、相性抜群と称される千歳であるが、果たしてそれは自身に相応しい言葉だろうか、と内心首を傾げていた。
千歳は小さなコンビニ弁当
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