はて迷外伝 最強の剣と最強の盾3rd
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ステイタスというものに、少しばかり言及しよう。
人が神の恩恵を受けると、全てのステイタスが0から開始される。
これはその人物が何の戦闘能力も持っていないという訳ではなく、恩恵を受ける際の自身の能力値を0として計算するためにこのような数値になるだけである。つまり、その冒険者の本当の能力は戦いで経験を積むことで如実化していく。
目には見えないが、恩恵を受けた時点で既に冒険者は常人以上の力を得る。しかしそれはあくまで魔物に対抗する最低限レベルのもの。それより上に到る力は自力で得る他ない。
ここに冒険者と一般人の決定的な違いがある。一般人が経験を積んでも能力は結局一般人の範囲内でしか大きくならないが、恩恵を受け取った冒険者はその伸び代が底なしに大きくなり、経験の概念が『経験値』に代わる。通常は経験しても強さに直接繋がらないものまでが完全に体内で数値化され、その伸び代に注がれていくのだ。
つまり、この【トール・ファミリア】団長に就任したのアーサー様はダンジョンでの苦労に比例するステイタスの伸びを得ている筈なのだ。なのに……なのに……。
「なのに、何でこんなに数値が伸びないのよぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「俺もそれなりに頑張った筈なのだが、この結果は少しばかり堪えるな………」
隣のユーリも自身のステイタスの伸びの小ささに動揺を隠せないらしい。それもそうだろう。あれだけ大量の魔物を倒したというのにステイタスの伸びは数値にしてトータル20ぽっちなのだから。これでは骨折り損のくたびれもうけだ。
ステイタスは基本的に『力』『耐久』『器用』『敏捷』『魔力』の五つの項目があり、馬鹿力が自慢なら『力』、足の速さが自慢なら『敏捷』といった具合に本人の得意とする部分がよく伸びる仕組みになっている。当然、未来の王であるこのアーサー様はどの項目も漏らさず完全な成長を遂げている。
だが、問題は上げ幅であってバランスではない。
「トール様!!どーいうことよコレ!!」
「新人冒険者とはここまでステイタスが伸びないものなのでしょうか?」
私もユーリもステイタスに関する知識は全てトールから受け取っている。トールは確かに二人に対して強く成長する資質があるとはっきり述べていた。だから二人はその言葉を疑わずにダンジョンを突き進み――ギルドの受付嬢である耳の尖った眼鏡の人に「行くなよ!絶対行くなよ!」と言われた2層を通り過ぎて10層で魔物狩りをしたのだ。……そのあと滅茶苦茶怒られたけど。
私たちの問いに対し、3人分の晩御飯を作っているトール様はふむ、と唸った。
「恐らく伸びが悪い理由は二つ、だな」
「それは何よ?努力不足とか言ったらその無駄に蓄えこんだ髭全部剃るわよ!!」
「そう焦るなよアーサー
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