はて迷外伝 最強の剣と最強の盾3rd
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り相対的に見て遙かに強い相手を撃破すると莫大な経験値を得ることが出来る。大抵の場合、これがランクアップの引き金になる」
「つまり、我々はもっと自分の実力に見合った強さの魔物と戦わなければ数値的な成長は見込めない……と?」
「絶対ではないが、可能性は一番高い」
スープの注がれた器から漏れ出る甘く優しい香りが腹にズドン。トドメとばかりに予め用意していた焼き立てのパンが入ったバスケットをテーブルの中央に設置したトール様は、自身も食卓についた。………生唾を呑み込む。いや……いやしかし、今の私はステイタスが上がっていなかったので機嫌が悪いのだ。機嫌が悪いから、食べ物くらいで私の起源は収まらない。
何度でも言おう。た、食べ物………くらいでは………ッ!!
「まぁ、今はまだ無理をするな。冒険者の本業は美味い飯を食うために生きて帰ってくることだからな。では………食物を遣わした偉大なる大地に感謝を」
「いただきまぁぁ〜〜すッ!!」
人も王も、空腹には決して勝つことが出来ない。
――by アーサー・キャバリエル――
既に、脳は食欲に支配されていた。私は主神が手ずから作り上げた最高の美味に勢いよく食らいつく。存分に咀嚼して味わった料理たちが胃袋に暖かな栄養源として注がれる。脳内に爆発的な快楽物質が生成されるほどのこの感激、これを至高の時間と呼ばずして何と呼ぶ。
はしたなくも頬一杯に料理を詰め込みながら、私は顔を綻ばせた。
嗚呼、なんと素晴らしきこの食卓。こればかりは万の栄誉にも代えがたき褒美なり!
「うまぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜い!!」
「アーサーお前……話、ちゃんと聞いてたんだろうな?」
「まぁ、話は後でも出来るだろう。お前も食っておけ、ユーリよ」
……トール様の話を聞いてなかったわけじゃないのよ?本当よ?
というか、トール様の料理の腕がよすぎるのが悪いと私は思う訳よ。
= =
心の底から幸せそうに料理を頬張るアーサーに呆れながら、ユーリは思う。
どうして自分はこの女を自分の君主になるなどと確信したのだろう。……いや、それは正確ではない。正しくはいま目の前にいる子供っぽい食いしん坊を見てもユーリは心のどこかでアーサーを信頼している。
アーサーという女は、村の中でも変わり者な存在だった。
父親がおらず、祖父母と母親との4人暮らし。父親は戦争で命を散らしたと人伝に聞いている。百年戦争の影響でそのような不幸もあるだろうと村人は気にも留めなかったが、そんな家庭で育った筈の彼女は、あらゆる意味で何故か家族の誰にも似ていなかった。
まず、暖かな栗色の髪に翡翠色の美しい瞳。
母親は金髪茶眼であり、曾祖父の代に遡っても彼女と同じ髪と瞳の色はいな
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