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執務室の新人提督
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人の体を持ち心を持つ存在だ。どこかで聞いた、或いは知ったそれを、赤城は女性の姿と心でゴーヤに行っている。
 ゴーヤが暫しここを離れ、様々な土地を巡ったと知るからだ。

「じゃあ、今度は他の潜水艦の子を呼んであげてね?」

 ゴーヤは苦笑を浮かべたまま赤城を見上げて言った。その御報謝とやらに与れるのが自分だけでは、と思ったからだろう。
 そんなゴーヤの思いが分からぬ赤城ではない。彼女はにこりと微笑んで
 
「じゃあ、提督もお呼びして皆でお食事会でもしましょうか」

 そう言った。
 ゴーヤは、苦笑を朗らかな物に変えて返した。

「それだけで、胸がいっぱいでち」
 
 
 
 
 
 
 
 ゴーヤにとっての久方ぶりの鳳翔の料理は、やはり美味であった。少なくとも、ここを離れていた際に口にした物とは比ぶべくもない程である。
 ゴーヤが鳳翔や間宮の料理に馴れた舌で在ったが故にそう思うだけだろうが、そう思わせるだけの魅力が鳳翔と間宮の食事には在るという事だろう。

 ゴーヤは満足げに頷くと外套の襟を首元に寄せた。季節は冬の前であるが、夜ともなれば寒さも強い。
 殊、先ほどまで在った居酒屋が暖かった分、感じ入る寒さはより一層厳しい物だ。
 ゴーヤは息を吐いて、僅かに白く染まったそれが宙に溶ける様を見つめた。
 そして、今日までの日々の、その始まりを脳裏に描いた。
 
 この世界に渡った際、一部の艦娘達――ゴーヤ達潜水艦娘は直ぐに動きを起こした。いや、動くしかなかったのだ。静かに混乱し、人知れず狼狽する主の為にも、彼女達は動かなければならなかった。
 その混乱と狼狽を、主から取り除く為に。
 
『提督、お願いがあるでち』

 代表して口を開いたゴーヤの話す内容に、提督は黙って頷いた。そして、無事に帰ってきて欲しい、と言ったのだ。
 だからこそ、ゴーヤ達は人知れず行動を起こし誰にも悟られず、この地に在る全ての鎮守府と施設を調べまわったのだ。大本営さえ、だ。
 提督の龍驤や鳳翔でさえ察知できぬ彼女達である。情報を得る為に様々な施設に忍び込む事は、ゴーヤ達の想像以上に簡単な事であった。集められる物を必死に集め、出来る事を必死で行い、そして彼女達はこうして提督の言葉通り無事戻ってきた。
 提督の願いだからだ。
 
 彼女達の中には、ほぼ全ての軍部の情報がある。勿論、一ヶ月やそこらで集められる情報には限りがあるが、それでも今現在鮮度の高い、生きた情報が手元にあるのだ。
 軍部のあり方、近隣の鎮守府と、そこに居る提督達の素行。各施設の艦娘達の扱いや保有戦力、展開中の作戦、展開予定の作戦、深海棲艦側の動向等などだ。
 だからこそ、ゴーヤは赤城が食事を一緒に、と言ってきた際頷いたのだ。
 どうせ赤城をかわ
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